研究課題/領域番号 |
21K18068
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
小松 周平 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 助教 (60843844)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨欠損治療 / 有機無機ハイブリッド / 薬物放出 / 骨再生 |
研究実績の概要 |
本研究では「骨欠損の治療を目指した薬物治療可能な骨再生能を持つ炭酸アパタイト粒子の作製」を目的としている。目的の達成のため、本年度では、予定通り、① 薬物の内包・放出能解析 (薬物の担持量・放出量などを蛍光分光光度計、UV-vis.などで評価)、② 骨芽細胞 (MC3T3-E1細胞)を用いて、CO3Ap粒子の骨伝導能・骨誘導能評価(アルカリフォスファターゼ活性の測定による骨誘導測定)、③マウスへのCO3Ap粒子インジェクションによる骨再生・新生骨形成評価(マウス骨内で骨形成を行い、CTスキャンによる骨再生評価)の評価を行った。 ①薬物の内包・付着は、蛍光モデル低分子薬物とBMP-2を用いて、薬物内包・放出評価を行った。具体的には、rhodamine BとBMP-2の混合溶液に所定時間、炭酸アパタイト粒子をインキュベートさせ、薬物内包・放出試験を行った。中性pH下では放出はしなかったが、骨形成環境下の酸環境下では薬物放出量が増加した。 ②骨伝導能・骨誘導能の評価は、BMP-2を付着させた粒子を、MC3T3-E1細胞と共培養し、骨芽細胞への分化評価をおこなった。具体的には、分化時に発現するオステオカルシンの発現量を定量し、分化評価を行った。さらに、アリザリンレッドS染色により骨結節の形成を確認した。 ③マウスを用いた骨再生・新生骨形成評価を行った。具体的には、粒子をマウス背中にインジェクトし、異所性骨形成能をマイクロCTにより評価をした。BMP-2付着粒子のみ骨形成が確認された。 以上の結果より、薬物を放出可能かつ骨形成を可能とする特徴を見出し、骨欠損治療のための材料としての応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では「骨欠損の治療を目指した薬物治療可能な骨再生能を持つ炭酸アパタイト粒子の作製」を目的としている。目的の達成のため、本年度では、予定通り、① 薬物の内包・放出能解析 (薬物の担持量・放出量などを蛍光分光光度計、UV-vis.などで評価)、② 骨芽細胞 (MC3T3-E1細胞)を用いて、CO3Ap粒子の骨伝導能・骨誘導能評価(アルカリフォスファターゼ活性の測定による骨誘導測定)、③マウスへのCO3Ap粒子インジェクションによる骨再生・新生骨形成評価(マウス骨内で骨形成を行い、CTスキャンによる骨再生評価)の評価を行った。 ①薬物の内包・付着は、蛍光モデル低分子薬物とBMP-2を用いて、薬物内包・放出評価を行った。具体的には、rhodamine BとBMP-2の混合溶液に所定時間、炭酸アパタイト粒子をインキュベートさせ、薬物内包・放出試験を行う。これら薬物の放出量は、蛍光分光光度計やUV-vis.などで継時的に測定し、薬物担持・放出パターンの解析を行った。 ②骨伝導能・骨誘導能の評価は、BMP-2を付着させた粒子を、MC3T3-E1細胞と共培養し、骨芽細胞への分化評価をおこなった。具体的には、分化時に発現するオステオカルシンの発現量を定量し、分化評価を行った。さらに、アリザリンレッドS染色により骨結節の形成を確認した。 ③マウスを用いた骨再生・新生骨形成評価を行った。具体的には、粒子をマウス背中にインジェクトし、異所性骨形成能をマイクロCTにより評価をした。BMP-2付着粒子のみ骨形成が確認された。 以上より、当初計画した本年度の実験は予定通り進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年時では、本年度に引き続きマウスでの評価を行った後に、ここまでの内容で論文をまとめる予定である。さらに、シェル自身に骨誘導能を付与できる炭酸ストロンチウムや、抗菌作用を持つ酸化亜鉛などを用いて粒子を作製することで、骨欠損の種類に応じて使い分けができる汎用性の高い材料を作製していく。シェルを自在に変更できれば、他の材料とは異なり、多種の骨疾患の治療が可能な材料と考えられ、骨疾患患者に大いに貢献できるものであると考えている。
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