本研究は導入時低血圧と術前の心エコー結果および術前合併症、術中の麻酔薬との関連を明らかにすることを目的に前向き観察研究を行った。当院の予定全身麻酔患者連続2000例を対象にデータを前向きに収集し最終的に1603例(非心臓手術1517例)を組み入れることができた。術前のアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、プロポフォールおよび導入前の低血圧、年齢は、導入時平均血圧の低下と有意に関連していた。心房細動の既往、術前のカルシウム拮抗薬の使用、全静脈麻酔と比較した場合のセボフルランおよびデスフルランの使用、全身麻酔導入前からの予防的ノルアドレナリン持続投与、麻酔導入開始時間(午後)は、導入時平均血圧の維持および上昇と関連した。ノルアドレナリン投与群ではハイリスク患者が有意に多く含まれていた。持続ノルアドレナリン投与は0.1ガンマ以上使用した場合はそれ以下と比較し効果が大きいことが示され、本研究の結果が全身麻酔の導入をより安全に実施するために活用できることが示唆された。最終年度はこれらのデータ解析を実施し、論文作成および学会発表のための抄録登録を行った。現在論文はBritsh of jornal ananesthesia openに投稿し査読中であり、学会発表に関しては第70回日本麻酔科学会に2演題採択され今後発表予定である。
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