研究課題
手術支援ロボットは、低侵襲性に優れ患者の早期回復が可能なため、国内外で広く普及している。ロボット手術は、主に患者体内に挿入したロボット(スレーブ)を医師が内視鏡の映像を見ながら、手元のコントローラ(マスタ)で操作して手術するマスタ・スレーブ方式で行われる。ロボットは医師の目と手の代わりに機能しているが、手術では体内の内部構造が事前にわかりにくく、複雑でロボットの動きに制限があるため、ロボットの構造は人間の身体と異なる場合が多い。このような人間の身体とは異なる形態・構造による性質は「身体性の違い」と呼ばれる。身体と異なる構造であっても、直感的に操作できるようにロボットを制御する必要がある。本研究では、手術精度や医師の関節エネルギー、脳活動における試行毎・個人毎のバラツキを合理的に考慮して、ロボットの制御設計を最適化する。制御変数は、マニピュレータの各関節の弾性係数や減衰係数、ポート位置などである。次の(A)~(C)を実施した。(A)VR環境内で多様な構造や制御系のロボットを複数人・複数回操作し、そのバラツキに最も合う確率分布モデルを明らかにした。(B)明らかにした確率分布モデルを基に信頼性設計理論を用いて、関節エネルギーや手術精度に対する各制御変数の影響のしやすさを明らかにした。(C)満足化トレードオフ法を用いて、手術精度と関節エネルギー、脳活動のバランスを合理的に決定した最適解を導出し、VRの再現実験で検証した。本研究は、多様な試行や人、構造が人間の身体とは異なるロボットに関わらず、操作者の能力を最大限かつ持続的に発揮しやすいロボットの制御設計を合理的に決定可能となった。本研究から、人の試行毎・個人毎のバラツキにAIを用いて、各人の動きやスキルの個性に適したテーラーメイド設計や、標準的・共通的な部分を抽出し万人に適したユニバーサルデザイン手法を確立できた。
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https://www.miuralab.org/