研究課題/領域番号 |
21K18076
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
田村 和輝 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (40822614)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械物性計測 / 光干渉計 / 光音響 / 弾性イメージング |
研究実績の概要 |
一般的な顕微鏡と同じ操作性で硬さを計測する機械物性顕微鏡を開発し、生物研究の場に提供することを目指している.一般的な顕微鏡観察と同じように機械物性の観察が可能になれば,形態観察に依存した観察体系に新たな視点を追加することができる. 光学式物性計測の原理はパルスレーザーを用いて培養細胞が接着している培養用シャーレに光音響波を励起し,その振幅から接着する細胞の機械物性を推定する.すなわちこの計測を実現するためには,光を使った培養細胞の加振と微小振動の計測の二つの技術が必要となる. 本研究では特に光学的な微小振動の計測について光学系の構築および安定化を図ることで,光学式機械物性計測の実現に近づくことを目的にしている.2021年度には自作のマイケルソン干渉計を構築し,偏波保持ファイバを使って生物用倒立顕微鏡と接続し,顕微鏡視野内の任意箇所の振動を光学像を撮影しながら計測が可能な光学系を構築した.カメラを使ってナノ秒パルスレーザと振動計測の光軸を一致させ,金属表面で発生した光音響波を検出した.この実験から中心周波数20 MHz程度のパルス振動の検出を達成した. よって,我々の提案する光学式機械物性計測の最も基本的な計測原理が実現可能であることを確認することができた. 高出力なレーザーを使用することができない培養用シャーレへの適用や,細胞計測には欠かすことのできない高空間分解能化など段階を踏みながら検証中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノ秒パルスレーザーを用いた金属表面での光音響波を計測できたことから,マイケルソン干渉計として具備すべき要件を達成したと判断したため.
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今後の研究の推進方策 |
振動計測の安定性の面では,装置の温度変化や周囲の振動に強く影響を受ける状態にある.そこで,安定性を確保するために,マイケルソン干渉計に内蔵されるリファレンスミラーを動的に制御が必要であり,これを2022年度に実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
光学部材の納期遅延により2021年度に購入することのできなかった物品があったため.
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