研究課題/領域番号 |
21K18091
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
相場 俊樹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 技術員 (50759008)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | エピゲノム |
研究実績の概要 |
希少がんである骨軟部腫瘍の中でも、軟骨肉腫と一部の軟部肉腫は中高年以降に多く、残された最後の治療法ともいえる重粒子線治療を適応しても、5年全生存率はいまだ低い。そこで本研究では、重粒子適応難治性骨軟部肉腫の早期発見及び局所制御に資するバイオマーカーを探索する。具体的には、DNAメチル化変化などのエピゲノム変異に着眼した。特に近年、DNA脱メチル化機構の中間体が発がん過程で重要な役割を担っていることが示唆されている。そこで、応募者らがこれまでに開発してきた高精度・高感度メチル化大規模解析法をDNA脱メチル化機構の中間体検出用に新たに改変し、これを重粒子適応難治性骨軟部肉腫の解析に適用することで、早期発見・局所制御に資するバイオマーカーを探索する。 今年度は「MSD-AFLP法」を改変して、新たにヘミメチル化DNAのみを高精度・高感度に検出する大規模解析法の開発を開始した。まずヘミメチル化DNAを合成し、これをポジティブコントロールとして開発を行い、ヘミメチル化DNAのみを検出する解析法を開発することができた。次に「MSD-AFLP法」およびヒドロキシメチル化体検出法の精度評価時に用いたものと同じマウス組織サンプルのゲノムDNA100ngを用いて検証を行ったところ、マウス組織ゲノム中のヘミメチル化レベルは非常に低く、検出感度が十分でない可能性が浮上した。そこで、ポジティブコントロールを用いて更なる検討を行い、検出感度を約400倍にすることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響から使用機器の使用制限が生じたことに加え、初めに考案した解析法では、マウス組織ゲノム100ng中のヘミメチル化レベルの検出は困難であるがことが判明し、検討に時間をかけ更なる改良を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
更なる感度増強とともに検出感度改良した方法にて「MSD-AFLP法」およびヒドロキシメチル化体検出法の精度評価時に用いたものと同じマウス組織サンプルのゲノムDNAを用いて再度検証を行ったのち重粒子適応難治性骨軟部肉腫のヒトの血液DNAにて解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、ヒト全血からとれるDNA量の観点から、ゲノムDNA100ng程度での検出を目指していた。そのため、この新手法の精度と感度を検証には「MSD-AFLP法」およびヒドロキシメチル化体検出法の精度評価時に用いたものと同じマウス組織サンプルのゲノムDNA100ngを用いた。しかし、初めに考案した解析法では、マウス組織サンプルのゲノムDNA100ng中のヘミメチル化レベルの検出は困難であるがことが判明し、時間をかけ検出感度改良のための更なる条件検討を行ったことや新型コロナウイルス感染拡大の影響から使用機器の使用に制限が生じたため、当初の予定よりも使用機器に用いた試薬量が少なかったため。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、新型コロナウイルス感染拡大の影響から一時使用制限が生じた使用機器などの試薬等に使用して、当初予定していた通り「MSD-AFLP法」およびヒドロキシメチル化体検出法の精度評価時に用いたものと同じマウス組織サンプルを解析した後、特定部位のヘミメチル化を既存手法でも測定し、新手法の精度と感度を検証する。
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