研究課題/領域番号 |
21K18109
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
今渕 貴志 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター, 任期付研究員 (90845471)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Omnidirectional camera / Human pose estimation / Behavior analysis / Deep learning |
研究実績の概要 |
本研究では、医療現場において複数患者のアクシデントにつながる行動を自動的にモニタリングすることを目的として、赤外線全方位型カメラを採用して、取得したパノラマ画像から人物の3次元関節情報を推定し、各関節の時系列の変動から特定の行動を推定するシステムの研究開発を行なっている。初年度は、プロトタイプシステムの開発に取り組んでおり、まず、全方位カメラ画像から人体姿勢推定ライブラリを採用して人物の3次元関節情報を推定し、人物の位置および方位を算出する手法を実装した。さらに、画像歪みの補正・画像の鮮明化を行う処理を導入し、全方位カメラ画像からの人物3次元関節推定処理の最適化を図った。次に、複数の特定行動を撮影した動画像を用いてLSTM(Long-Short Term Memory)をベースとした深層学習モデルによる関節角度の時系列変動の学習を行ない、学習済のネットワークに基づいて行動推定を行う処理を構築した。これらに加えて、処理結果を確認するために、OpenGL等のライブラリを用いて3次元空間上に人物の3次関節位置座標、2次元グラフ上に関節の時系列変動をそれぞれプロット可能な可視化ソフトウェアの開発も行った。ハードウェア面における将来的なプロトタイプシステムの小型化に向けて、奥行き推定アルゴリズムを用いて単眼全方位カメラからの人物の3次元関節位置推定について検討を行った。性能評価実験では、1人の人物を対象とした基礎的な実験により、定量的な位置推定精度、複数の行動推定精度の評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、プロトタイプシステムの開発を行い、概ね提案手法の実装を完了させることができたが、各手法の評価実験においては1人の人物を対象とした精度評価に留まり、手法の妥当性や再現性、システムの有用性に関する評価や議論を行うことができなかった。その理由として、研究代表者の所属機関の変更に伴い、ハードウェアのセットアップや開発環境の準備に時間を要したことから、当初予定よりプロトタイプシステム開発に遅れが生じたためである。また、評価実験の遅れから結果的に今年度の研究開発内容について年度内の外部発表に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度において実施できなかった複数人被験者による評価実験を実施してプロトタイプシステムの評価を行う。実験結果から課題の洗い出しを行い、改善が必要な項目については手法の再検討を行う。各提案手法の妥当性が確認された後、システム実用化に向けて、小型開発ボードを用いたソフトウェア・ハードウェア両面の実装を行う予定である。また、現在、あらかじめ計測した動画像データに対して提案の一連の処理をオフラインで行なっているため、リアルタイム処理について実装を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、評価のための動画像データ計測・収集を行うことができなかったことにより、旅費および謝金を使用しなかったため。また、研究開発の遅れから計画していた一部のハードウェア購入および外部発表を行うことができなかったため。次年度にハードウェア購入、データ計測・収集および外部発表を行う予定として、物品費や旅費、学会参加費等として計上する。
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