研究課題
本研究の目標は、脳科学の知見を導入したより人間に近い言語処理モデルを構築することである。言語野には「文法・読解・音韻・単語」から成る4つの言語中枢が同定されている。また、分担者(酒井)らの研究で文法関連ネットワークは少なくとも3つあることが明らかとなっている。機能的MRI(fMRI)などによる脳機能計測と機能結合(functional connectivity)の解析により、これら3つの脳内ネットワークがどのように融合されているかを明らかにする。fMRI実験の課題は、分担者(福井)を中心に、理論言語学の知見に基づきデザインし、代表者が構文や語順を題材に実験の素材となるデータを提供して実行した。自然言語処理分野では、ほとんどすべての生成AIがそうであるように、多くのシステムでTransformerとその亜種が用いられているが、Transformerアーキテクチャがその内部で個別の情報をどのように処理しているかは定かでないため、様々な実験設定で言語学的な機能との対応を分析した。Transformerには明示的なメモリ(記憶)がなく、必要とする学習データ量も人間に比べ桁違いに大きく冗長な可能性があること、またその内部表現の解釈が困難なことから、リカレントネットワークの記憶に明示的な解釈を強制したモデルを構築し実験を行った。さらに、文字情報に明示的に現れない読解時の間(ポーズ)の予測を行い、話し言葉が基盤である人間の言語処理とのギャップ解消を試みた。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 図書 (4件)
To appear in New Insights into Theoretical Syntax from Asian Languages (ed. by A. Simpson).
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