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2023 年度 実施状況報告書

アニメの声が喚起する「情動」を手がかりに声の文化的制度化を分野横断で捉える試み

研究課題

研究課題/領域番号 21K18116
研究機関鹿児島大学

研究代表者

太田 一郎  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (60203783)

研究分担者 宇都木 昭  名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (60548999)
太田 純貴  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (90757957)
菅野 康太  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (80722470)
石井 カルロス寿憲  国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 上級研究員 (30418529)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
キーワード社会音声学 / アニメの声 / メディア文化研究 / 言語文化研究
研究実績の概要

(1) これまで収集したデータに,印象評定に基づくデータの選別,音響特性の抽出の工夫などを施して, より精密な分析を実施した。その結果,キャラクターの異なりにいくつかの音響特性が影響すること,それぞれのキャラクターに発話者間で一定の共通する傾向がみられることなどがわかった。この成果を 20th Internationa Congress of Phonetic Sciences (ICPhS 2023, 2023年8月)において発表した(石井,宇都木,太田(一))。(2) 分担執筆(共著)した The Handbook of Sociophonetics(英国ラウトリッジ社)が出版された(2023年10月)。本研究に関連する成果は,日本語の「声質」に関する社会音声学的研究の紹介とアニメキャラの声質を分析した「ケーススタディ」の部分である。フォルマントの周波数と強度,スペクトル傾斜,および基本周波数 などのアニメキャラの声質の特徴には社会文化的な一定の型がある可能性を指摘し,それらの音響特徴が社会的・文化的状況の変化と相互に影響を与えあうことで声の社会的意味が移り変わることを述べた。(3) 齧歯類では超音波発声(USV)がコミュニケーションに用いられているが,その音響特性からUSVが感情表現として機能すること を提案する総説論文(共著,招待あり)を出版した(2023年6月,菅野)。(4) UCLAのエルキ・フータモ教授を招聘したメディア文化についての研究会("Screenology, or Media Archaeology of the Screen")を鹿児島大学で開催した(2023年12月22日,太田(純))。(5) 次年度の学会発表が採択された(成果の中間総括:SS 25, 2024年6月豪州)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は,①アニメの声質の特徴を捉えるために,音響パラメータの分析をさらに進めること,②アニメの声質の一般的な音響的特性を明らかにするために,一 般人女性の声を収録するなど新たなデータを収集すること,③アニメの受容状況やファンの活動等について,海外のアニメ関連イベント等での観察やインタ ビュー等の調査を行うことを予定していた。①に関しては新たな結果を得ることができ,おおよそ予定していたような進捗状況まで達した。②については対面での調査を計画中である。③については,コロナ渦や海外の社会事情の状況を見ながら,調査を行うことを計画中であるため,(3)という評価にした。

今後の研究の推進方策

これまで行えなかった調査を実施するなどして遅れを取り戻し,研究を進展させる。①今年度行った声質の分析をさらに進めて情動との関連を追求する準備を行う,②一般人女性の声のデータを収集し,声優コース学生の声と比較する準備をする,③声優による新たな音声資料の収集を計画・実施する,④声と触感性などの文化的概念の関連の検討を進める,⑤アニメの受容状況やファンの活動等について,アニメ関連のイベント等で調査やインタビュー等を行う。

次年度使用額が生じた理由

計画中の資料収集や現地調査などが実施できなかったこと,また当初予定してい た国内外での学会もオンライン開催となり旅費を支出しなかったことなどが大きい。令和6年度は国内および海外での調査や発表等の研究活動に使用する予定である。また,新たな声優の音声資料の収録や調査会社等を利用した調査の計 画も進めるので,人件費,調査費,結果を英語で公表するための英文校閲費などにも使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] Voice types and voice quality in Japanese anime2023

    • 著者名/発表者名
      Ishi Carlos T., Utsugi Akira, Ota Ichiro
    • 雑誌名

      Proceedings of the 20th International Congress of Phonetic Sciences

      巻: 1 ページ: 3632, 3636

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 異性を演じるキャラクタ音声の音響的特徴に関する予備的調査2024

    • 著者名/発表者名
      菅原貴介・宇都木昭
    • 学会等名
      第9回日韓学術交流会
    • 国際学会
  • [学会発表] Voice types and voice quality in Japanese anime2023

    • 著者名/発表者名
      Ishi Carlos T., Utsugi Akira, Ota Ichiro
    • 学会等名
      20th International Congress of Phonetic Sciences
    • 国際学会
  • [学会発表] メディア考古学とスクリーン・スタディーズの交差点としての自転車2023

    • 著者名/発表者名
      太田純貴
    • 学会等名
      メディア考古学とスクリーン・スタディーズ
  • [図書] The Routledge Handbook of Sociophonetics2023

    • 著者名/発表者名
      Kenjiro Matsuda, Shoji Takano, Yoshiyuki Asahi and Ichiro Ota (edited by Christopher Strellef)
    • 総ページ数
      668
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      9780367472795
  • [図書] Acoustic Communication in Animals2023

    • 著者名/発表者名
      Shota Okabe, Kouta Kanno (edited by Yoshimasa Seki)
    • 総ページ数
      231
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      9789819908301
  • [学会・シンポジウム開催] Screenology, or Media Archaeology of the Screen2023

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公開日: 2024-12-25  

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