研究課題/領域番号 |
21K18124
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
柴田 明穂 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (00273954)
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研究分担者 |
原田 尚美 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (70344281)
青木 茂 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80281583)
木村 ひとみ 大妻女子大学, 社会情報学部, 准教授 (30393028)
稲垣 治 神戸大学, 国際協力研究科, 部局研究員 (90772731)
來田 真依子 大阪経済法科大学, 国際学部, 助教 (50899234)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2026-03-31
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キーワード | 国際法 / 南極条約体制 / 人新世 / レジリエンス |
研究実績の概要 |
本研究は、地球システムと人類社会システムが一体化する人新世の下での法学研究の先駆として、国際法制度のレジリエンスのあり方を、法学的知見と地球科学を中心とした自然科学的知見を連携させた社会自然科学的手法を駆使して分析し、新たな国際法学術体系を開拓する。そのモデルケースとして、人新世的痕跡が著しい南極地域を管理する南極条約体制(ATS)を題材として、地球科学からの知見を踏まえて100年先の南極の姿を構想しながら、ATSがそのレジリエンスを発揮し強化しうる国際法学的知見を提示する。
本年度の研究は、地球科学の知見を踏まえた南極条約体制のレジリエンス研究を推進するという上記目的を達成するために、① 世界最大の南極研究学術大会である南極研究科学委員会主催のオープン・サイエンス会議(オンライン)「学際セッション」に、「新人世下の南極条約体制の強靭性」及び「南極環境保護のための科学と法政策の協働」と題する2つのパネルを設置し、本件代表者と分担者全員が、海外からの自然科学者・法学者と共に研究報告を行い、その内容をYouTube動画で公開した。② 南極法研究者が一堂に会する極域法国際シンポジウム(アイスランド・レイキャビク、対面)において、「ウクライナ侵攻と南極条約体制のレジリエンスに対する法的挑戦」と題する共同研究報告を行った。③ 12月2日神戸大学にて国際シンポジウム「変化する国際情勢と南極協力のゆくえ」をハイブリッドで開催し、海外からの国際法専門家を招へいしつつ国内の南極政策関係者及び南極観測実施主体関係者と共に議論を行い、その内容をYouTube動画にて公開した。④ 引き続き、国内の南極研究者、政策関係者を集めた「南極国際動向研究会」をして意見交換を深め、海外からのゲストスピーカーも交えた研究会も行った。(期間前半にバイアウト制度を活用し、研究代表者の研究時間を確保した)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題の考察を深めるため、国際シンポ等での研究報告の機会を多くもち、海外の専門家も含めた有益なフィードバックを多く得られた。国際シンポ等の内容をYouTubeで公開することにより、研究成果を直接社会に還元することもできている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、人新世的痕跡が著しい南極地域を管理する南極条約体制(ATS)を題材として、文理連携研究を継続する。そのため、2023年度は第45回南極条約協議国会議(5月にフィンランド・ヘルシンキ開催)にNGOメンバーとして参加し、南極条約の交渉現場の状況を悉に調査して、今後の学術的検討にフィードバックする。その学樹的検討の場として、2023年6月にポルトガル・リスボンで開催されるSCAR SC-HASS隔年学術会合の場を活用し、「科学的証拠に基づく南極法政策の決定過程の再活性化」というセッションを立ち上げ、研究報告及び世界中の専門家による議論を促進する。年度後半に、これら研究の中間報告を行う国際セミナーを開催し、ATSがそのレジリエンスを発揮し強化しうる国際法学的知見を提示に向けた議論を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度前半は引き続き新型コロナ禍の影響で海外関連会議等がオンラインになり旅費の執行が減った。 2023年度はほぼ新型コロナ禍の影響もなくなり、海外関連会議における情報収集及び研究発表を行う。
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