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2022 年度 実施状況報告書

プラスチック内部残留応力の非侵襲精密測定法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 21K18157
研究機関東京大学

研究代表者

梶原 優介  東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60512332)

研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード残留応力 / 高分子配向 / テラヘルツ波 / 偏光計測 / 差周波
研究実績の概要

本研究の目的は,プラスチック成形品の内部残留応力を三次元的に定量評価できる精密計測技術を確立することである.基盤となる物理現象は,樹脂内ポリマーの振動がテラヘルツ(THz)帯域にある点である.THz差周波光源,THz集光・偏光光学系を設計してTHz偏光計測装置を構築し,プラスチック成形品のTHz偏光依存性から内部残留応力の大きさ,向きをサブミリ空間分解能かつ非侵襲で定量評価可能な計測技術を実現・確立する.
2022年度はまず,2021年度に設計したテラヘルツ偏光光学系を構築した.設計通り,0.3~3THzにおいて十分なS/Nが得られたほか,1 THzでビーム径が5 mm程度に絞られており,試料測定において十分なスペックが得られていることが分かった.次に,当該装置を利用して,1)成形試料に外力を印加した際のTHz偏光度変化,2)成形試料のTHz偏光度と内部残留応力の相関調査,を実験的に検証した.1)に関しては,PTFEのダンベル試験片を自作の引張装置にて引張力を印加しながら偏光度変化を調査した.結果,0.3~1 THzの領域において,弾性領域,塑性領域いずれにおいても引張力と偏光度に強い相関があることが分かり,かつ各領域においては線形な関係にあることも分かった.今後は応力と偏光度の関係の定量化を推し進める予定である.また2)に関しては,射出成形条件を変えて内部残留応力をコントロールした試料を複数準備し,成形後の偏光度を評価した.その後,成形試料を複数に切断して内部残留応力を開放し,その後の寸法変化と切断前の偏光度を比較することにより残留応力と偏光度の相関を評価した.結果,残留応力と偏光度に強い相関が存在することが定性的にではあるが得られている.本実験に関しても,今後定量化を推し進めて本研究の目的の達成を目指す.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

2022年度においては,2021年度に設計・発注した装置を構築したうえで,外部応力とTHz偏光度の関係,内部残留応力とTHz偏光度との相関調査を実験的に行うことができ,定性的ではあるものの,いずれも強い相関が得られるなど,予想していた以上の大きな進展があった.

今後の研究の推進方策

外部応力とTHz偏光度の関係,内部残留応力とTHz偏光度との相関調査を行ったうえで,両者に定性的な相関が得られているので,最終年度ではそれらの定量的な相関評価を進め,目的として掲げている内部残留応力評価法の確立を目指す.加えて,標準試料のみならず,実際に生産現場で使用されている試料に近い形状の試料にも準備し,より現場に近い形での検証も推し進める予定である.

次年度使用額が生じた理由

国際会議LEM&Pにおける口頭発表を行うこととなったため,その参加費用に充てる予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Development of Residual Stress Evaluation System Inside Resin Using Terahertz Waves2022

    • 著者名/発表者名
      A. Tanaka, F. Kimura, S. Saito, I. Yoshida, Y. Kajihara
    • 学会等名
      The 19th International Conference on Precision Engineering (ICPE2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] 樹脂内部応力とテラヘルツ吸収の相関評価2022

    • 著者名/発表者名
      田中惇士,木村文信,三宅茂夫,花田秀美,野渡透一,梶原優介
    • 学会等名
      精密工学会秋季大会
  • [備考] 梶原研究室website

    • URL

      http://www.snom.iis.u-tokyo.ac.jp/

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公開日: 2023-12-25  

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