本研究では,フレキシブルフィルムを用いた新しい3次元微細構造形成法を提案し,フレキシブルワイヤに,3次元構造を用いたマイクロ力学量センサを作りこんだマイクロ集積化ワイヤの基盤技術の確立を試みた.本研究ではフレキシブルフィルムにおいて,ハンドリングを困難にしている柔軟性を逆に利用した微小3次元構造形成法の基盤確立を目的とした.具体的には,フレキシブルフィルムの特性を生かした構造形成法を確立して,位置合わせ不要の多層化を可能とする.そして,フレキシブルフィルムを基にしたワイヤ状のデバイスを可能にし,フレキシブルかつ面積・体積を大幅に低減させたセンシングデバイスの原理確認を試みた. これまでに,3次元構造形成の基盤となる2次元構造として,電極となる金属膜と電極を分離するための貫通穴をパターニングしたフレキシブルフィルムが,電極を含んだ微小3次元構造の形成に有効であることを確認できた.さらに,フレキシブルフィルムの柔軟性を生かした構造形成法による静電容量センサの構築を試み,3次元的な構造から成る静電容量センサの構築が可能であることを確認できた.本研究達成のキーポイントとなる,2次元構造から3次元構造の構築という,本研究で提案した構造形成法の原理確認に成功した. 本年度は,構築した静電容量型センサの力検出の原理確認と性能向上を試みた.電極間に電圧を印加し,力を加えたときの静電容量の変化から,印加された力を測定した.出力信号の微弱化に備えた高感度検出系も構築し,力センサとしての原理確認に成功した.
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