研究課題/領域番号 |
21K18169
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
荒川 太郎 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (40293170)
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研究分担者 |
吉川 信行 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 教授 (70202398)
國分 泰雄 ものつくり大学, その他の部局, 学長 (60134839)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 光変調器 / 光インターコネクション / 量子井戸 / 極低温 / 超伝導集積回路 |
研究実績の概要 |
次世代スーパーコンピュータ向け超伝導集積回路や超伝導量子コンピュータの実現には、これらの量子論理集積デバイスだけでは実現できないインターフェース機能やメモリ機能を担う室温CMOS回路等との間を繋ぐ超高速光インターコネクト技術が不可欠である。本研究では、極低温で動作する超伝導LSIと室温で動作するCMOSメモリなどのデバイス間での超高速光インターコネクションのために、本研究では極低温下で従来にない超低電圧で駆動できる光変調器の物性設計、素子設計から実装までの総合技術を開発することを目的としている。 今年度は、(1)化合物半導体光導波路と光ファイバーの入出力構造の検討と作製技術の確立(2)化合物半導体量子井戸単一微小リング共振器光変調器の検討と作製技術の確立を行った。(1)について、昨年度設計した基板鉛直方向に対し45度の角度を付けたグレーティングはやはり精度良く作製することが難しいことがわかった。そこで、通常のグレーティングでは垂直入射を行うこととした。電子ビーム露光法と誘導結合プラズマドライエッチング法を用いてグレーティングの作製条件を検討し、2次のグレーティング形状を作製することに成功した。 (2)について、単一微小リング変調器構造で動作電圧の低減と変調速度の両立できる構造を理論検討した。その結果、極低温において、量子井戸の電界吸収効果と電界誘起屈折率変化効果の両者を利用することで、70 mVという極めて低電圧(通常の光変調器の1/50)かつ20 GHzの高速で動作することを明らかにした。また、三重結合量子井戸構造を工夫することで、室温動作においても0.12 Vという低電圧動作も可能であることを示した。さらに、電子ビーム露光法と誘導結合プラズマドライエッチング法による量子井戸微小リング共振器の作製を試み、周回長の異なる4次直列結合微小リング共振器の作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
光入出力の作製、量子井戸単一微小リング共振器の作製に成功した点では順調と言える。一方で、光入出力の実験的な検証が行えていないので、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
推進方策 前年度、作製技術を確立した垂直光入出力の構造を作製し、極低温下の光導波測定を試み、光軸ずれに対する耐性、結合効率の評価を行い、極低温で導波測定できることを実証する。また、量子井戸単一微小リング変調器の試作、評価を行う。三重結合量子井戸構造をコア層に有するエピタキシャルウエハを分子線エピタキシー法により成長する。それに電子ビーム露光法と誘導結合プラズマドライエッチング法による加工プロセスを施し、微小リング光変調器を試作する。極低温および室温での光変調動作の実証、評価を行い、その低電圧動作を実証する。評価結果を素子設計にフィードバックし、電圧動作の更なる低減を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
デバイス作製プロセスのための実験装置利用料が予想よりもわずかに少額だっため、次年度に使用額が生じた。次年度の実験装置利用に活用する。
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