研究課題/領域番号 |
21K18177
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 幸弘 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50236329)
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研究分担者 |
佐藤 光輝 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50312541)
久保田 尚之 北海道大学, 理学研究院, 特任准教授 (40359211)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 台風 / 3D観測 / 超小型衛星 / 雷放電 / 地上観測 |
研究実績の概要 |
本研究では、超小型衛星と雷放電測網を組み合わせた、これまでに例のない超高精度の台風監視と予測を行うための観測システムを低コストで実現する手段に見通しをつけることを目的としている。2021年度は、RISESAT衛星およびDIWATA-2衛星の2機の50kg級超小型衛星を運用して、延べ12回のオンディマンド運用のキャンペーン観測を実施し、そのうち台風本体の観測は5回行った。また、過去の航空機および超小型衛星による3D観測の詳細な解析を進め、それらをひまわり8号の熱赤外線観測から推定した雲頂高度分布と比較し、一致しないことを確認した。これにより、大気のスケールハイトの水平分布を推定し、鉛直対流分布の手がかりを得るという手法に見通しが立った。雷放電観測では、既設の地上観測システムのデータに基づき、台風の発生時および発達期の活動を調査し、フィリピン近海で発生する場合は、著しい雷放電活動が先行することを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、RISESAT衛星やDIWATA-2衛星などの超小型衛星を運用して、台風シーズンに、複数の台風の中心部を異なる角度から撮影、解析することを計画していた。実際には、台風5回、それ以外の積乱雲など関連気象現象につおて7回の観測キャンペーンを実施し、ターゲット領域にカメラを向けての観測し良好なデータを取得することに成功した。一方、既存の雷放電測網に、観測拠点を増設するために観測装置3式を購入する予定としていたが、見積もり、発注はしたものの、COVIDに伴う部品調達の問題から、納品に至らず、2022年度に持ち越しとなっている。しかし、既設観測点のデータを詳細に解析することで、学術研究としては一定の成果をあげていると分析する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、超小型衛星による台風および関連気象現象のオンディマンド観測とその解析を継続して、データの蓄積を進める。台風の雲そのものの観測に加え、台風発生・発達の鍵を握る、地表付近の水蒸気分布の計測手法についても開発を進める。雷放電観測装置に関しては、購入完了次第設置、運用に移行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に購入予定だった雷観測装置が、COVIDの影響でメーカー側の部品調達が間に合わず、納品を断念した。2022年度、可能な範囲の台数での発注を予定している。
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