研究課題/領域番号 |
21K18181
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
笹川 崇男 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (30332597)
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研究分担者 |
三澤 哲郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (40635819)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 非磁性半金属 / 超高速電子移動度 / 超巨大磁気抵抗 / 単結晶 / 第一原理計算 |
研究実績の概要 |
相対論効果や結晶および電子軌道の対称性(既約表現)に基づいて発現する特徴的な電子構造をもつ非磁性半金属を対象として、キャリア移動度および磁気抵抗変化率(MR)で未踏領域の特性値を示す物質の創製に挑戦している。 超高速キャリア移動度(μ∝τ/m*)を実現するために、物質固有の電子有効質量(m*)を極端に小さくできるグラフェンに類似した線形電子分散(ディラック型)および派生した特徴的な電子構造(ワイル型、ノーダルライン型、ノーダルリング型など)をもつ半金属を、第一原理計算を活用しながら開発した。 初年度として、精密物性値計測の強化に向けた測定システムのアップグレードや、単結晶をマイクロデバイス化して測定信号の増強を図る手法の開発なども進めた。 選定を進めていた候補物質について、化学組成や欠陥量を精密制御した純良単結晶試料の準備に取り組み、キャリア移動度や磁気抵抗変化率を含めた磁気輸送特性の詳細な評価を行った。 研究戦略に沿った計画が順調に進み、具体的に研究対象とした物質群として論文発表まで行うことができたものが、Bi4Br4 [Nature Materials]、(Sn,Bi,Sb)2Te2S [Appl. Phys. Lett.]、(Bi,Sb) [J. Phys. Soc. Jpn]、Mo(Te,Se)2 [Phys. Rev. B]、CoNb3S6 [Phys. Rev. B]、PbTaSe2 [Nature Commun.] など多岐にわたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要とも重複するが、物質・特性開拓について設定した研究戦略の遂行が順調に進み、Bi4Br4 [Nature Materials]、(Sn,Bi,Sb)2Te2S [Appl. Phys. Lett.]、(Bi,Sb) [J. Phys. Soc. Jpn]、Mo(Te,Se)2 [Phys. Rev. B]、CoNb3S6 [Phys. Rev. B]、PbTaSe2 [Nature Commun.] などを対象とした研究について、インパクトファクターの大きな専門誌などに成果の論文発表ができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、相対論効果や結晶および電子軌道の対称性(既約表現)に基づいて発現する特徴的な電子構造をもつ非磁性半金属を対象として、キャリア移動度および磁気抵抗変化率(MR)で未踏領域の特性値を示す物質の創製に挑戦してゆく。 化学組成や欠陥量の精密評価を行った単結晶試料を対象に、研究戦略の有効性の実証が進んでいるので、この勢いを維持して研究を推進してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍および半導体不足に伴う納品期日の不確定が原因で、発注できなかった設備備品が発生した。代替品の検討も含めて、次年度以降の早い時期に購入物品の確定を行う。
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