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2021 年度 実施状況報告書

骨機能化のための4D配向化骨臓器の創製

研究課題

研究課題/領域番号 21K18183
研究機関大阪大学

研究代表者

松垣 あいら  大阪大学, 工学研究科, 准教授 (10592529)

研究分担者 石本 卓也  富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (50508835)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
キーワード4Dプリンティング / 人工臓器 / 骨配向性 / 骨機能制御 / 外場制御
研究実績の概要

骨が臓器として機能し、真の代替材料として振舞うためには、骨類似3D細胞造形体の「機能化」と骨配向化の本質的なメカニズム解明が鍵を握る。本研究では骨制御の「3D」から「4D」への変革に挑戦し、配向化に基づく骨機能の本質理解を目指す。骨複雑系を構成する異種細胞を単一細胞レベルで描画、細胞間での相互作用を制御しつつ、外的因子負荷をコントロールした動的配向化組織構築を目指して研究を遂行している。4D実現化のための解決策として、(A)バイオプリンタを用いた細胞積層化制御および(B)外的刺激への組織応答のin situ観察、機能性変化の定量的理解を両輪として、具体的には以下の研究成果を得た。

(A) 細胞積層化による3次元配向化構造体構築:バイオ3Dプリンタを駆使した骨芽細胞およびオステオサイトの配置制御を行った。細胞吐出条件の最適化により単一細胞の配置を制御、さらにコラーゲン基質を介した積層化により3次元配向化骨を作製した。
(B) 外的刺激への組織応答のin situ観察、機能性変化の定量的理解:生理学的運動を模倣したオステオサイトへのせん断刺激負荷の人為的制御法を確立した。せん断刺激負荷はPIV(粒子画像解析法)解析に基づく流速・周波数制御と流体シミュレーションの組み合わせにより、細胞体や細胞突起への刺激付与を定量的にイメージングを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

バイオ3Dプリンタを駆使した細胞積層化により、複数種の骨系細胞を相互に連携させつつ立体構造をくみ上げ、骨の高次機能実現の可能性が見えてきた。当初の予定を上回り、細胞パターンを維持した立体構造の構築、さらには細胞間での相互作用の可視化に成功しており、「当初の計画以上に進展している」と自己評価する。具体的な項目ごとの進捗を以下に示す。◎:当初計画を上回り進捗、〇:当初計画通りに進捗 を意味する。

(i) バイオプリンタを用いて細胞配置を制御、細胞配向積層化を達成(◎)、(ii) 細胞積層化と基質タンパク質の分子配向化の同時制御により、長期的な配向化構造を実現(〇)、(iii) 作製した配向化骨類似構造体では、内部で細胞間情報伝達により生物学的機能発現を実現(◎)、(iv)作製した構造体への流体刺激の定量的制御を実現(〇)

今後の研究の推進方策

昨年度までにバイオプリンタによる配向化細胞積層化、さらにそれら細胞間での機能的な相互作用を実現している。今後は外的刺激因子への3D配向化組織の応答(細胞分化、免疫応答やサイトカイン産生)について遺伝子・タンパク質レベルでの4Dイメージングにより解明する。とりわけ、細胞間での動的相互作用に関して、免疫応答や炎症性サイトカインに関するシグナル分子の授受をタイムラプスイメージングにより解明する。さらには、シングルセル解析により、個々の細胞が発現する遺伝子情報、機能発現の時空間的制御を解明することで、4D制御でしかアプローチできない骨機能の高次制御システム解明を目指す。
具体的には、外的刺激への組織応答のin situ観察、機能性変化の定量的理解のために、生理学的運動を模倣したオステオサイトへのせん断刺激負荷、細菌・ウィルス感染および環境ストレスの人為的制御法を確立する。特に、細胞間での動的相互作用に関して、免疫応答や炎症性サイトカインに関するシグナル分子の授受をタイムラプスイメージングにより解明する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 力が骨を強くする仕組み―配向性を指標とした新しい骨医療2022

    • 著者名/発表者名
      松垣あいら、中野貴由
    • 雑誌名

      整形・災害外科

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Control of osteoblast arrangement by osteocyte mechanoresponse through prostaglandin E2 signaling under oscillatory fluid flow stimuli2021

    • 著者名/発表者名
      Matsuzaka Tadaaki、Matsugaki Aira、Nakano Takayoshi
    • 雑誌名

      Biomaterials

      巻: 279 ページ: 121203~121203

    • DOI

      10.1016/j.biomaterials.2021.121203

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Control of stem cell fate and function by engineered surface topography using metal additive manufacturing technology2021

    • 著者名/発表者名
      松垣あいら、中村郁仁、竹花諒、藤當翼、福島涼、松坂匡晃、小笹良輔、石本卓也、宮部さやか、中野貴由
    • 雑誌名

      スマートプロセス学会誌

      巻: 10 ページ: 261-264

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ポストコロナ時代の骨質医療革新;コラーゲン/アパタイト配向性に基づく個別化骨医療2021

    • 著者名/発表者名
      松垣あいら、中野貴由
    • 雑誌名

      地域ケアリング

      巻: 23 ページ: 71~80

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 配向化骨誘導型人工骨臓器研究の最前線2021

    • 著者名/発表者名
      松垣あいら、中野貴由
    • 雑誌名

      人工臓器

      巻: 50 ページ: 190-194

    • 査読あり
  • [学会発表] オステオサイトの応力感受を起点とした細胞・骨基質配向化機序の解明2022

    • 著者名/発表者名
      松坂 匡晃、松垣 あいら、中野 貴由
    • 学会等名
      日本金属学会2022年春期講演(第170回)大会
  • [学会発表] オステオサイトの応力感受を起点とした骨芽細胞配列化制御因子の解明2021

    • 著者名/発表者名
      松坂匡晃、松垣あいら、中野貴由
    • 学会等名
      第41回日本骨形態計測学会
  • [学会発表] バイオマテリアル表面構造による細胞・骨基質配向化制御機構2021

    • 著者名/発表者名
      松垣あいら、中野貴由
    • 学会等名
      第41回日本骨形態計測学会
  • [学会発表] 材料学に基づく骨微細構造制御のための生体機能化材料開発に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      松垣あいら
    • 学会等名
      日本金属学会2021年秋期講演(第169回)大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 応力負荷異方性共培養モデル構築による力学応答骨配向化因子の同定2021

    • 著者名/発表者名
      松坂匡晃、松垣あいら、中野貴由
    • 学会等名
      日本金属学会2021年秋期講演(第169回)大会
  • [備考] 中野研究室HP

    • URL

      http://www.mat.eng.osaka-u.ac.jp/msp6/nakano/

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公開日: 2022-12-28  

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