研究課題/領域番号 |
21K18187
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮原 稔 京都大学, 工学研究科, 教授 (60200200)
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研究分担者 |
平出 翔太郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (60853207)
渡邉 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80402957)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | ゲート型吸着剤 / 圧力スイング吸着 / 自己熱補償能 / 非等温吸着 |
研究実績の概要 |
本研究は,骨格構造に柔らかさを有するゲート型吸着剤を活用した新様式の圧力スイング吸着法(PSA)の確立を目指すものである。初年度に当たる本年度は,①PSA装置の設計,②ゲート型吸着剤(ELM-11)の大量合成とペレット化手法の検討,および③PSAシミュレータの開発を実施した。以下にそれぞれ詳細を示す。 ①真空配管業者の協力のもとPSA装置の仕様を決定した。特に,分析精度の向上のために,できる限り配管による死容積が小さくなるような装置設計を突き詰めた。度重なる仕様変更や真空関連部品の長納期化の煽りを受け,年度内の装置納品には至らなかったものの,納得のいく仕様となった。 ②大量合成のために,ELM-11を高濃度条件で合成してみたところ,低濃度条件で得られる既知の前駆体(pre-ELM-11)とは異なる結晶構造が得られることが分かった。構造解析を行った結果,これはpre-ELM-11の準安定構造であることが明らかとなった。幸いなことに,さらなる検討から,準安定構造も前処理によってELM-11へと転移することが確認されたため,高濃度条件によるgオーダーの合成が可能であることが分かった。加えて,人工イクラの製法に着想を得たペレット化手法を試み,比較的簡便に,質の良い成形体が得られることを確認した。 ③既存の成果である非等温吸着カラムモデルを拡張することで,非等温PSAシミュレータを開発した。特にzeolite 13XによるCO2/CH4分離を対象とした計算を行い,その健全性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
半導体分野好調による真空関連部品の長納期化の煽りを受け,年度内の装置納品には至らなかったものの,翌4月の初旬には納入される見込みであり,極端な遅れには繋がっていない。 他方,長期の検討が必要と予想されたペレットの大量合成方法に目処がたった点,また,PSAシミュレータの基礎が完成した点において予定を上回る進展があり,全体を総合するとおおむね順調に進展したものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
順番の前後は多少あれど,当初の計画通りに研究が進展しているため,今後も引き続き研究計画に則って進めていく。特に次年度は,4月に納入されるPSA装置の主配管について,制御系のインストールと制御ソフトウェアの開発を急ぎ,測定が可能な状態へと持っていくことに注力する。また,ペレットの大量合成とそれを用いた破過曲線測定,およびPSAシミュレータのゲート型吸着剤への拡張等も同時並行で実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
半導体好調の煽りを受けPSA装置に必要な真空部品類が長納期化し,本年度中の納品とならなかったため,多額の次年度使用額が発生した。これらは,来年度の装置納品をもって問題なく精算される見込みである。
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