本年度は、①細菌のプロトプラスト化とその走査電子顕微鏡(SEM)観察と②細菌捕捉と局所試薬送達のためのナノ孔の開発、③細胞サイズリポソームの形成に取り組んだ。 ①ナノ孔の形成:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を用いたSi異方性エッチングによるナノ孔形成では数umサイズの開口の形成しかできなかった。そこでSi異方性エッチングでSi基板に逆ピラミッド構造を形成し、最後に収束イオンビームを用いて逆ピラミッド構造の先端に500nmサイズの貫通開口を形成することに成功した。 ②ナノ孔越しの細菌に対する薬剤送液: 枯草菌を1mmスリットで陰圧吸引して捕捉し、その上で蛍光液(模擬リゾチーム)を枯草菌の一部に送液した。リゾチームは30分程度の反応時間により細胞壁を除去することがわかっているため、局所送液を30分行った。下流方向に蛍光液は流出して枯草菌のスリット開口部だけでなく大部分が蛍光液で染色された。 ③細菌サイズリポソームの形成:1 um程度の流路寸法のフローフォーカス構造を作製し、リポソームを形成したが6 um級の単分散性を有するリポソームが得られた。
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