研究課題/領域番号 |
21K18192
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古川 修平 京都大学, 高等研究院, 教授 (90452276)
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研究分担者 |
猪瀬 朋子 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (10772296)
亀井 謙一郎 京都大学, 高等研究院, 准教授 (00588262)
雲林院 宏 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (40519352)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 多孔性材料 / 一酸化窒素 / ポンプ・プローブ法 / ナノワイヤ |
研究実績の概要 |
心疾患と脳血管疾患は、長年日本における死因の第2, 3位を占めており、今後社会の高齢化が加速する中で、その治療は公衆衛生上最も重要な課題の一つである。生体内で産生されるNOは、血管弛緩・拡張を惹起することが知られており、その効果を活用した治療薬への応用が期待されている。しかしながら、現在の治療法ではNOを体内の狙った場所へ伝達することが困難であり、今後NOをより汎用性の高い治療薬として活用するためには、治療部位でのNOガス拡散の時空間的挙動と血管機能の相関を解明し、必要最低限のNOの利用へとつなげる必要がある。 本研究「生体ガスポンプ・プローブ法を用いた一酸化窒素拡散挙動と血管機能相関の可視化」では、血管機能の制御・改善に向け、一酸化窒素 (NO)を放出する多孔性ナノ粒子を用いて、単一細胞内・血管組織におけるNOの拡散ダイナミクス及び空間分布情報とNOにより惹起される細胞機能の相関を可視化し、生体内NOの真の挙動を明らかにする。 初年度は、細胞内におけるNOの発生位置を固定するために、単一細胞内視鏡技術に用いる銀ナノワイヤー上に光によりNO発生が可能な亜鉛とニトロイミダゾールからなる多孔性金属錯体(NOF-1)の固定化技術の確立を目指した。様々な合成条件(反応温度、試薬濃度、ナノワイヤー分散度)の検討の結果、銀ナノワイヤー上へのNOF-1の固定化条件を見出した。また、同様の条件を用いることで、銀ナノワイヤーのみならず金ナノロッド上への固定化にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、これまで異なる材料であった単一細胞内視鏡技術に用いる銀ナノワイヤーとNO発生多孔性金属錯体の融合化に重点をおいた。様々な条件検討の結果、銀ナノワイヤ上へのNOF-1の固定化に成功した。今後は、細胞内でのNO発生及び、NO検出を進める。
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今後の研究の推進方策 |
今年度成功したNOF-1固定銀ナノワイヤーを用いて、細胞内でのNO放出実験を行う。これにより、単一細胞内任意の場所でのNO放出が可能になる。これをもとに、NO検出手法の開発も進め、生体ガスポンプ・プローブ法の開発をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、雇用予定だった技術員もしくは研究員候補者の採用に至らなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は技術員と研究員を雇用し、研究を加速させる予定である。
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