研究課題
a蛍光寿命顕微鏡においては、光の回折限界に起因して、分子・原子レベルでの機能が重要となる100nm以下の情報が得られない。最近の超解像法等によって分解能の向上は試みられているものの、数十nmが限界である。本研究では、電子線励起発光(カソードルミネセンス、CL)をベースに光子ー光子相関および電子ー光子相関測定という全く新しい計測手法により、蛍光寿命顕微鏡による回折限界を打破する。この手法では、電子プローブの空間分解能で測定可能であり、既存の光による寿命顕微鏡の分解能をはるかにしのぐ。高い空間分解能を生かした透過電子顕微鏡ベースの計測によりナノ構造の同時計測・直接対比も可能となる。2023年度は、前年度までに開発した寿命マッピングシステムを用いた半導体応用を引き続き実施する。すでに着手しているCsPbBr系(CPB)金属ハライドペロブスカイトの解析を実施した。CsPbBr3およびCs4PbBr6の解析を進めた。Cs4PbBr6では、バンドギャップよりも低エネルギーの緑の発光の原因がほぼナノ結晶からのものであることが決定的となっている。これまでの室温観察に加えて、液体窒素温度での低温観察をすすめた。液体窒素温度までサンプルを冷却したCL観察では、これまで観測されていなかった発光ピークが観測されており、これらの解析は今後の課題となっている。また、半導体のようなインコヒーレントな発光だけでなく、表面プラズモンや遷移放射、チェレンコフ光、スミスパーセル放射などコヒーレントな発光の計測を行った。コヒーレントな発光の多くは、fsオーダーの寿命の高速発光であり、既存の検出器で発光寿命解析は困難であるが、相関のカウント数を吟味することで、コヒーレント発光の光子の特性の評価を可能とした。
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