研究課題
本研究では、光子発生源であるナノ結晶と単一メタマテリアル共振器を人工的な操作によって極めて高精度に位置制御して組み合わせ、ナノオーダーサイズの革新的な極小単一光子放出器を実現することを目的とする。この新しい構成を持つ極小な光量子素子はこれまでには無かったコンパクトな固体光量子回路の設計を可能とするものであり、光マイクロマシン、フォトニック結晶光導波路、シリコンフォトニクスなど他の既存技術との親和性も高いことから、同分野の新たな基盤技術になり得ると考えている。今年度は3年計画の最終年に当たる。まず、微小な光共振器製造のために、これまでのSPM(操作型プローブ顕微鏡)リソグラフィに替えて、FIB(集束イオンビーム)加工による製法に注力した。従来は難しかった複雑かつ微細な構造が迅速に製造できるようになり、素子設計の自由度も増した。そこで、昨年度に実現した偏光制御型極小光子放出器の改良と、性能評価を進めた。また、プレーナ型量子回路向けの単一光子放出器の提案と試作も進めた。この素子は光学ポリマーに担持された中空構造を有しており、メタマテリアル共振器によって、導波路不要で横方向に指向性良く単一光子を放出できる。これらの成果についての学会発表を行った。また、同時に進めているナノ結晶光源(量子ドット=QD)の開発も鋭意進めた。QD周囲に存在している配位子を置換することで、光学性能の向上を図った。更に、共振器中の光源の位置決めに必要な、量子状態を維持したまま見かけのQDサイズを大きくするシリカコート技術の検討を進めた。シリカコーティングを実施する前に有機溶媒中で熱分解法でQDの保護層を付与することの効果を昨年度見出していたが、その熱分解法の前にQD表面をシラン化しておくことでQDの保護層が均一になり、QDの保護機能が改善されることを見出した。これらの成果についても学会発表を行った。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 63 ページ: 02SP37~02SP37
10.35848/1347-4065/ad1256
Colloids and Surfaces A: Physicochemical and Engineering Aspects
巻: 685 ページ: 133285~133285
10.1016/j.colsurfa.2024.133285
Journal of Materials Science: Materials in Electronics
巻: 35 ページ: 680
10.1007/s10854-024-12366-1
巻: 62 ページ: 108001~108001
10.35848/1347-4065/acfb63