研究課題
最終年度は、昨年度の研究成果をもとに断層撮影における信号検出感度と深さ方向分解能の改善を行った。信号検出感度の改善には、断層撮影光学系の損失の低減とポンプ光パルス強度の増強による周波数上方変換効率の改善が必要である。一方、深さ方向分解能の改善には分散補正によるプローブ光パルスのパルス幅の低減が必要となる。これらを達成するために、本年度は繰り返し周波数 100 MHz、平均出力 520 mW、パルス幅 38 fs のモードロックファイバーレーザーを光源とし、低損失な回折格子を使用した 4f 光学系と光ファイバーによる分散補償により、パルス幅 ~ 240 fs、平均出力 50 mW のプローブ及びポンプ光パルスの生成に成功した。(昨年度はパルス幅 380 fs、プローブ及びポンプ光パルスの平均出力はそれぞれ 1.5 mW と 30 μW であった。)これにより、マウス固定脳を試料とした断層撮影において、深さ方向分解能 ~ 38 μm、信号検出感度 ~130 dB が見込まれる。(昨年度の深さ方向分解能は 57μm、信号検出感度は 111 dB であった。)研究期間全体を通して、光パルスの時間分解測定による断層撮影において、背景雑音となる多重散乱光の除去、130 dB を超える信号検出感度を量子パルスゲートにより達成できることを示した。これにより、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)より試料深部の観察が可能となり、背景雑音除去によるコントラストの高い鮮明な画像を取得できる。深さ方向分解能に関しては現状では ~ 38 μm であるが、空間位相フィルタを用いることにより 10 μm 以下の分解能を得ることができると考えられる。
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信学技報
巻: 123 ページ: 102-107
Scientific Reports
巻: 13 ページ: 21080-21080
10.1038/s41598-023-48270-7
https://www.cst.nihon-u.ac.jp/news/detail/20231201_1637.html