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2021 年度 実施状況報告書

バイオ無機光触媒による革新的な高効率物質変換

研究課題

研究課題/領域番号 21K18213
研究機関九州大学

研究代表者

石原 達己  九州大学, 工学研究院, 教授 (80184555)

研究分担者 Song Juntae  九州大学, 工学研究院, 助教 (10865348)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード光触媒 / バイオ触媒 / 物質変換
研究実績の概要

本研究では大きく①無機光触媒の高性能化、高効率化、②バイオ光触媒の高活性化と新しい反応を生じることが可能な酵素系の探索、③MVの側鎖やπ電子系の延長による最適の酸化還元対の探索、④光電気化学セルへの展開という課題で構成される。本年度は①可視光に応答が可能な種々の酸窒化物について検討をおこなった。また巨大圧力ひねり加工処理(HPT処理)の応用を検討した。その結果、多くの酸窒化物はMVの還元に活性を示さなかった。これは還元に必要なバンドエネルギーが十分でないためと考えられる。一方、HTP処理を行い、欠陥の導入と応力を印加したところ、新たな光吸収が発現し、通常は、紫外光にしか応答しない光触媒が可視光域でも活性を示すことを見出した。そこで、欠陥の導入は光触媒の活性向上に有効であることが分かった。②新しい酵素系の探索ではニトロゲナーゼに着目し、シアノバクテリアにおいて培地の条件を検討し、ニトロゲナーゼの発現量を増加させることに成功した。水素生成やNH3生成活性を検討したところ、グリセロールを用いて、反応系を制御したところ、NH3と水素の生成が24時間程度維持できることが分かった。③本バイオ光触媒プロセスではバイオ触媒と無機光触媒をつなぐ酸化・還元対についても検討を開始した。現状では従来より用いてきたメチルビオロゲン(MV)の活性が最も高いことが分かった。④電気化学セルへの展開では新たに電気化学的な2室型セルについて検討し、TiO2の光機能電極で、0.3Vvs. 参照極において、MVの還元と酸素の発生を行えることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、目的としていた可視光応答型光触媒としての酸窒化物はMVの還元活性を示さなかったが、HTPで可視光応答性が発現できそうなので、ほぼ目的通りに進捗していると判断している。またバイオ触媒に関してはニトロゲナーゼの大量合成に成功し、N2とH2OからのNH3とH2の生成が行えることができた。今後、最適化によりさらに活性の向上が期待される。また電気化学セルにおいても、クーロン効率はやや低いながら、酸素と酸化還元対の還元を行えたので、当初の計画していた成果は得られており、ほぼ目的通りに進捗していると判断している。

今後の研究の推進方策

本年度の研究で無機光触媒に関しては、酸窒化物は十分な活性を示さなかったので、今後は、色素の修飾効果を中心に可視光応答性を検討する。とくにTiO2への各種色素の修飾を検討するとともに、TiO2に代えて、より伝導帯のエネルギー準位の高いGaN:ZnOなどの触媒への色素修飾効果を検討する。次にバイオ光触媒については引き続きニトロゲナーゼによるNH3合成の高活性化について検討する。現在はニトロゲナーゼをシアノバクテリアより得ているが、他のバクテリア由来のニトロゲナーゼについても検討を行う。電荷の伝達系に関しては従来のMVに代えて、より疎水性の大きい分子やより親水性の分子を検討し、電化を伝える効率を支配している因子を明確にする。また犠牲剤についても詳細な検討を行い、とくにバクテリアに適合した犠牲剤を探索する。電気化学セルについては、作用極への光触媒系の応用を検討する。従来はカソードにはn型半導体としてCu2Oなどが多用されるが、Cu2Oは不安定なので、これに代わるペロブスカイト系の作用極触媒を検討する。またn型光機能電極と併せて、二重励起の可能性を検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Enhancement of photobiocatalytic H2 production using different sacrificial agents and redox mediators.2021

    • 著者名/発表者名
      Nuttavut Kosem, Watanabe Motonori, Ishihara Tatsumi
    • 学会等名
      第128回触媒討論会

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公開日: 2022-12-28  

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