研究課題
本研究では大きく1)無機光触媒の高性能化、高効率化、2)バイオ光触媒の高活性化と新しい反応を生じることが可能な酵素系の探索、3)MVの側鎖やπ電子系の延長による最適の酸化還元対の探索、4)光電気化学セルへの展開という課題で構成される。本年度は1)色素増感による可視光応答性の付与を検討し、エオシンYが良好な増感効果を示すことを見出すとともに、カルボニル基を修飾したエオシンYがさらに優れたMVの還元活性を有し、520nmの可視光に対する見かけ量子収率が1.5%と高くなることを見出した。実際にバイオ触媒と組み合わせ、エオシンYがバイオ触媒に負の効果はないことを確認した。水素発生の太陽光変換効率は犠牲剤存在下であるが、2.5%と高い値を示した。2)の新規反応としてニトロゲナーゼを用いるNH3合成を検討し、培地の工夫によりニトロゲナーゼの大量合成を実現するとともに、NH3とH2の発生が可能なことを見出した。条件を最適化することで、NH3とH2の生成速度を向上できた。3)ではMVに代わり、ベンジルビオロゲンなど各種のビオロゲン系電子伝達系を検討したが、MVを凌駕する電子電圧物質は見いだせなかった。一方で、犠牲剤の影響も非常に大きいことを見出し、とくに従来のTrisに代えて、あらたにHEPSと呼ぶ硫黄系の犠牲剤の性能が優れることを明らかにした。Trisに比べ約2倍のMVの還元速度に到達した。4)は電気化学セルでの評価を行い、電圧を印加することで、MVの還元と酸素の発生を検知することができた。今年度はカソードへのTiO2の応用を行い、光照射下では流れた電流以上にMVが還元できることを示した。
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Applied Catalysis B: Environmental
巻: 342 ページ: 123431~123431
10.1016/j.apcatb.2023.123431