研究課題/領域番号 |
21K18226
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 教授 (00231150)
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研究分担者 |
光田 靖 宮崎大学, 農学部, 教授 (30414494)
雉子谷 佳男 宮崎大学, 農学部, 教授 (10295199)
平田 令子 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50755890)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 森林施業 / 気候変動適応 / 長伐期化 / 広葉樹林化 / 目標林型 |
研究実績の概要 |
・中課題(1)長伐期大径材生産への変更を考慮した施業:(ア)スギ品種試験地において特定母樹等の計27系統の若齢木の樹幹形状調査を行い、前年度に構築した林冠閉鎖時期の推定モデルを拡張するパラメータを取得した。(イ)R03年度に設置したスギ強度間伐試験地の成長モニタリングを実施するとともに、さらに、宮崎大学木花キャンパス内で台風被害を受けた壮齢林分に新たに試験地を設定し、地上調査による生残木のサイズ計測および、ドローンを用いたレーザー計測による樹冠形状の精緻調査を実施し、個体間距離および樹冠量と成長量の関係解析の準備を整えた。(ウ)ヒノキ林についても2014年に設置していた列状間伐試験地でのモニタリングを実施し、樹冠量と成長量の予備的解析を行い、ヒノキにおいても樹幹長率が低い短い林分で列状間伐の効果が見られない可能性があることを確認した。 ・中課題(2)広葉樹林化(林種再転換)を考慮した施業: (ア)既往のスギ人工林伐採・広葉樹植栽導入試験地において、通常の間伐時の刈払い作業を想定した低木層除去処理を実施し、その後の後継広葉樹の成長とシカ食害の変化をモニタリングした。その結果、低木層除去処理当年はシカ食害の増加の効果が被圧解除の効果を上回る傾向にあり、低木層のファシリテーション効果が大きい可能性があること、翌年以降は後継樹の形状比の低下に伴い被圧解除の効果が増加することを明らかにした。(イ)種子源配置の最低条件については、単層林と複層林の鳥類相比較を継続し、階層構造を持つ林分で種子散布者誘因効果が高い可能性を認めた。さらに、過去に小面積皆伐を実施したモザイク状のスギ異齢人工林の下層樹木データを種レベルで解析して、小面積皆伐が下層樹木の侵入・成立に与える影響を予備解析するとともに、試験地の一部について19年後のモニタリングを行い、次年度の調査・解析の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により台湾のスギ人工林を対象とした調査が実施できなかったが、それ以外の項目については、追加試験地の設定も含めて概ね予定の年度計画を実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
・既往試験地のスギの成長をモニタリングするとともに、新規に設定した風倒被害試験林分についても、コア採取による年輪解析を実施して、樹冠量-成長量関係の解析を行う。 ・広葉樹林化については、過去の帯状伐採による広葉樹林化試験地のモニタリングを実施し、前生稚樹蓄積量が広葉樹林化に与える影響を解析するデータを補強する。また、小面積皆伐によるスギ異齢人工林の下層植物モニタリングを完了し、スギ異齢パッチ間の種子源効果を分析する。 ・コロナ感染状況が落ち着き海外渡航可能になった時点で台湾での調査を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた台湾のスギ林の調査および試料分析が、コロナ感染拡大の影響で実施できなかったため。
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