共食いは多くの生物で観察される行動であることが知られているが、共食いを対象とした研究の歴史は浅い。共食いに関する研究のほとんどが博物学的な記載に留まり、分子生物学的・遺伝学的研究は皆無に近い。今回、ショウジョウバエを用いた共食い行動解析は、同種間の捕食行動である共食い行動の理解に留まらず、異種間での捕食行動を理解するきっかけにもなる。また、今回の共食い変異体は、化学感覚(嗅覚と味覚の双方)の変異体であることから、共食い行動が複数感覚の統合によって厳密に制御されていることを分子レベルで示す初めての研究となる。
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