研究課題/領域番号 |
21K18242
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
那波 宏之 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (50183083)
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研究分担者 |
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (90313551)
難波 寿明 和歌山県立医科大学, 薬学部, 講師 (90332650)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 統合失調症 / モデル動物 / 幻聴 / カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
近年のヒト脳機能画像研究から、幻聴、幻覚に代表される感覚の偽認知には、一次もしくは周辺二次感覚皮質の異常発火が関与しているとされるが、この仮説を神経科学的に実証する手段はなかった。そこで、幻覚研究のための動物モデル確立とその評価のための計測システムの構築を目指し、GCAMPカルシウムセンサーを用いた脳活動可視化システムをモデル動物に適用し、幻聴や幻覚に対する大脳皮質活動パターンの特徴を捉える計画を立案した。 初年度には、無感覚刺激下での大脳皮質活動をマクロレベルとミクロレベルで観測できるカルシウムイメージングシステムを、前者はBrainVISION社のマクロ蛍光顕微鏡THTシリーズ、後者はInscopix社内視鏡型蛍光顕微鏡NVueを基に構築した。実験対象となる高速型カルシウムセンサーGCAMP8を発現するTGラットの繁殖とその評価を行った。結果、当該TGラットは特異的なGCAMP8脳内発現制御が可能で、十分な神経活動依存的蛍光変化を呈することを確認できた。加えて、幻覚・幻聴に対する自発的神経活動が低シグナルである可能性も考慮して、高感度型GCAMP6Sを発現できるTGラットの作製に着手した。当該遺伝子発現ベクターを設計し、そのTGラットの作製を作製を外部委託した。幻覚誘発剤などによる大脳皮質活動変化のカルシウムイメージング実施するに先立ち、NMDA受容体阻害剤やドパミンアゴニストで誘発される自発的神経活動を計測中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度には研究代表者の所属機関の移籍とそれにともなう必要機器や実験動物の移設があったため、実験計画に少し遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
移籍先の新設機関でも当該遺伝子組み換えラットの繁殖が進み、十分な実験動物を確保できるようになってきたので、計画スケジュールの回復に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
報告書に記載のように新規に高感度型カルシウムセンサーを発現するTGラットの作製を、すでに外部委託中であるが、この支払は作業完了後になっている。そのため、あらかじめ、その作業経費分の予算を確保する必要があったため。
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