研究課題/領域番号 |
21K18246
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 郁朗 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (40305496)
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研究分担者 |
森 貴裕 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (60734564)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / 薬物代謝酵素活性化 / 立体構造基盤 / プロドラッグ |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト腸内細菌による天然薬物プロドラッグの代謝活性化機構を取り上げた。近年のメタゲノム、メタボローム解析技術の進歩と相まって、マイクロバイオーム研究の進展は目覚ましいものがある。本研究では、ヒト腸内細菌メタゲノムライブラリーのスクリーニングにより、還元的なC-C 結合開裂により、アンスロン二量体から単量体への変換を触媒する酵素を同定し、基質特異性など、酵素の精密機能解析により、その性状と反応機構を明らかにし分子基盤を解明することを目的とした。また、漢薬葛根の有効成分イソフラボンC-配糖体のC-C 結合の開裂については、ヒト腸内嫌気性菌PUE株のDgpB-C複合体によって触媒されることが報告されている。これまでに我々は、この酵素複合体の結晶構造解析を行い、その結果、C-配糖体のC-C 結合開裂反応のメカニズムとその立体構造基盤を解明することに成功し、研究成果をNature Communications誌に印刷公表した。昨年度より、上記メタゲノムライブラリーより、これらホモログ酵素のスクリーニングを行い、その性状を明らかにすべく、生体触媒としての検討に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに我々は、この酵素複合体の結晶構造解析を行い、その結果、C-配糖体のC-C 結合開裂反応のメカニズムとその立体構造基盤を解明することに成功し、研究成果をNature Communications誌に印刷公表した。昨年度より、上記メタゲノムライブラリーより、これらホモログ酵素のスクリーニングを行い、その性状を明らかにすべく、生体触媒としての検討に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、漢薬大黄の有効成分アンスロン二量体から単量体への変換酵素については、ヒト糞便より腸内細菌メタゲノムを採集し、DNAライブラリーを構築する。これを、常法に従い、大腸菌を宿主として異種発現し、sennidin A を基質として、還元的なC-C 結合開裂により、アンスロン二量体から単量体への変換触媒活性を指標として、スクリーニングを行い、酵素遺伝子を同定する。関連する腸内細菌の代謝産物と生合成酵素についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大が本年も終息することなく、入国制限によりポスドクや留学生の来日が困難になり来年度にずれこんだ。結果として研究の進捗が遅れ、試薬・ガラス器具などの購入に充てる物品費、また、研究成果発表を予定していた国際学会が延期になったため旅費、など次年度に繰り越した。
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