研究実績の概要 |
本研究では、ヒト腸内細菌による天然薬物プロドラッグの代謝活性化機構を取り上げた。近年のメタゲノム、メタボローム解析技術の進歩と相まって、マイクロバイオーム研究の進展は目覚ましいものがある。本研究では、ヒト腸内細菌メタゲノムライブラリーのスクリーニングにより、還元的なC-C 結合開裂により、アンスロン二量体から単量体への変換を触媒する酵素を同定し、基質特異性など、酵素の精密機能解析により、その性状と反応機構を明らかにし分子基盤を解明することを目的とした。また、漢薬葛根の有効成分イソフラボンC-配糖体のC-C 結合の開裂については、ヒト腸内嫌気性菌PUE株のDgpB-C複合体によって触媒されることが報告されている。そこで、この酵素複合体の結晶構造解析を行い、その結果、C-配糖体のC-C 結合開裂反応のメカニズムとその立体構造基盤を解明することに成功した。
さらに加えて、C-C 結合の開裂反応など、特に化学結合の開裂・形成に関わる種々の関連酵素の性状や反応機構・立体構造基盤を明らかにし、生体触媒としての応用を検討した。これら研究成果をNature, Nature 姉妹誌、JACS, Angew Chem など、トップジャーナルに印刷公表するとともに、各種国際学会で発表した。
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