本研究では、自己細胞由来のがん細胞が自然免疫系の細胞機能を操るのか、またその機構があるとしたらどのような機序によりがん細胞自らの生存や増殖を有利にしているのかの問いに挑戦した。その結果、大腸がん細胞は細胞外小胞内にN6メチルアデノシンレベルを低下させたRNAを封入して放出する。そのRNAは単球やマクロファージのTLR8を活性化させ、炎症性サイトカインTNF-αやIL-6を放出させる。それらサイトカインががん細胞の増殖を誘導する。以上の結果は、がん細胞はRNA修飾体バランスを正常細胞と変えてEV内に封入して放出し、自然免疫系を活性化させてがん細胞有意な微小環境へと誘導する機序の存在を証明した。
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