研究課題/領域番号 |
21K18268
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
平田 浩聖 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (30899315)
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研究分担者 |
横田 隆徳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90231688)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 血液脳関門 / グルコース輸送体 / 脳エネルギー代謝 / 抗体 |
研究実績の概要 |
大きな社会問題になっているアルツハイマー病(AD)をはじめとした多くの中枢神経系疾患は、未だ有効な治療薬や診断薬がない。その要因の一つが 血液脳関門(BBB; blood brain barrier)の存在である。本研究では、グルコース輸送体(Glut; glucose transporter)の血糖変化に伴う生物学的機序を活用することにより、静脈内投与で血液脳関門を通過し、脳実質内に効率的に移行するBBB通過型抗アミロイドβ(Aβ)抗体の開発を目指している。具体的には、脳血管内皮細胞に高発現するGlut-1の血糖変化に伴う細胞内リサイクリングを利用し、Glut-1を介して抗Aβ抗体を高効率にBBBを超えて脳内に導入する技術開発を行う。 Glut-1を介する方法として、Glut-1の基質であるグルコースを表面に配位した高分子ミセルでBBB通過させる分子技術、または抗Glut-1抗体を取得して、抗体でGlut-1に結合させる方法を用いて開発を行う。 本年度は、グルコースミセルについては、内部に複数の断片化抗Aβ抗体を包含させたグルコースミセルを、血糖操作を加えたADモデルマウスの静脈内に投与したところ、脳内の神経毒性のある複数のアミロイド種の除去、脳の病理学的変化を抑制させることを確認した。 一方で、Glut-1に直接結合する抗Glut-1抗体を用いてBBBを通過させる方法については、ラットに免疫し、ハイブリドーマ法によりGLUT1特異的に結合する抗体のスクリーニングを行い、候補となるクローンを選抜し、マウスin vivoでの脳移行性を評価した。一部のクローンで脳移行性を示すデータを得たものの、再現性が得られなった。 MRイメージングへの展開については、本年度は抗Aβ抗体にMR造影剤であるGd-DOTAを複数導入する方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グルコースミセルによるBBB通過型抗体の有効性をADモデルマウスを用いて検証を行っている一方で、抗Glut-1抗体の取得に難航しているため。
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今後の研究の推進方策 |
グルコースミセルを用いBBB通過型抗体の開発については、引き続きグルコースミセルを投与したADモデルマウスの解析を進める。 抗Glut-1抗体については、脳移行性の可能性がある抗体について、生化学的・病理学的手法を用いて抗Glut-1抗体とマウスGlut-1との結合を検証する。 MRイメージングの開発については、抗体へのGd-DOTA導入率の最適化を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた抗体作製にかかる支出が少なかったことや国内外の学会参加がオンラインとなり旅費の支出が少なかったなかったため。データ解析に必要な物品などの購入や次年度の学会参加のために引き続き使用する予定である。
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