研究課題/領域番号 |
21K18272
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
筋野 智久 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40464862)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 脳腸連関 / 制御性T細胞 |
研究実績の概要 |
近年脳ー腸連関が明らかとなりつつあり、特に神経回路を介して免疫細胞が関与することが多数報告されている。体内に張り巡らされた神経繊維が局所での免疫細胞の維持さらに局所での炎症シグナルを脳に伝播することで、局所の免疫応答に重要な役割を担っていることが明らかとなりつつある。これまでに皮膚の神経繊維がTLR7を介し脳にシグナルを与え、そのシグナルを腸管が受けることで腸管の免疫細胞が変化し腸炎を増悪させることを見出した(Kiyohara, Sujino Cell Mol Gast. Hepa. 2019)。 さらに神経伝達シグナルであるアセチルコリン受容体を有するマクロファージが抑制性のT細胞であるRorgt+Tregの腸管内での維持に重要であり、迷走神経遮断においてアセチルコリン受容体を有するマクロファージが減少することを見いだした(Teratani Nature 2021)。 脳腸管関連性においても求心路の解析が進む一方で、遠心路における病態制御、特に免疫細胞の消化管内での局在、動態については長年不明である。近年単一細胞レベルの免疫細胞機能解析における飛躍的な技術進歩により消化管内での多様な細胞の機能的相互作用を解析することが可能となった。これまでに報告されていない細胞間の相互作用ネットワークが構築され、免疫細胞のクラスター化などが可視化可能となっている。申請者はこれまで2光子顕微鏡を使用することで腸管内におけるTregの局在、動態を報告している(Sujino Science 2016)。そこで遠心路を中心としたシグナルに着目し、腸管解析を行い動態を含めた脳ー腸管連関の理解に挑戦する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度マウスファシリティー工事のため一時的にマウスコロニーを縮小していたが、再度規模を戻し解析を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度腸管上皮シグナルがTregの局在、動態制御を行い、大腸炎を抑制することを報告した(Yoshimatsu,Sujino Cell Rep 2022)。 本年度も引き続き遠心路からのシグナルが腸管に与える影響を中心に解析を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年に生じたマウスファシリティの閉鎖に伴う影響で、残額が生じている。本年度は動態解析、シングルセル解析を行うため予定通り利用する予定である。
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