研究課題/領域番号 |
21K18279
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
原田 高幸 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 参事研究員 (90345306)
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研究分担者 |
行方 和彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 副参事研究員 (70392355)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 視神経再生 / 視機能回復 / 緑内障 |
研究実績の概要 |
脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor; BDNF)の高親和性受容体であるTropomyosin receptor kinase B(TrkB)の細胞内領域のみ(iTrkB)を細胞膜に強制発現させるアデノ随伴ウイルスベクター(AAV-iTrkB)を作製した。これを高眼圧緑内障および正常眼圧緑内障の疾患モデルマウスに眼球内投与して、網膜神経節細胞に対する神経保護効果を調べた。さらに視神経または上丘の外傷モデルに対しても同じAAV-iTrkBベクターを投与し、視神経軸索の再生効果について検討した。 今回開発したAAV-iTrkBベクターでは、一度だけの眼球内投与により、BDNFの投与無しに、網膜神経節細胞における細胞内シグナルを活性化することに成功した。また高眼圧緑内障および正常眼圧緑内障のいずれの疾患モデルマウスにおいても神経保護効果を促進し、緑内障の進行を抑制した。さらに視神経外傷モデルにおいては、視神経軸索が視交叉に到達するほどの強力な再生効果が確認された。一方、上丘外傷モデルにおいては、再生線維が切断部位を超えて上丘内に到達し、視機性動眼反射が一部改善した。 以上からAAV-iTrkBベクターを用いた遺伝子治療が、緑内障を含む網膜変性疾患の進行抑制や、視覚経路損傷後の視機能回復に寄与する可能性が示された。以上の成果を、米国遺伝子細胞治療学会の機関誌である「Molecular Therapy」誌上で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
緑内障及び視神経外傷モデルに対する遺伝子治療効果が確認され、すでに論文発表を終えている。
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今後の研究の推進方策 |
我々の考案した遺伝子治療では、一回の眼球内投与で数ヶ月間の持続効果があり、かつ十分な治療効果が観察された。今後は遺伝子導入する細胞の特異性を上げつつ、さらなる効果の改善を目標とする。また炎症や癌化などの副作用が見られないか、さらに長期間の効果についても観察を続ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は学会が現地参加ではなくリモート参加となったことなどから、予定していた経費の全額使用には至らなかったが、次年度に引き続き消耗品等として使用する予定である。
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