研究実績の概要 |
革新的なリンパ行性薬剤送達法の開発を目的に, 以下の課題に取り組んだ. (1)深層学習を用いたリンパ洞の画像解析法の開発 マウスの腸骨下リンパ節(subiliac lymph node: SiLN)に腫瘍細胞を移植し, 固有腋窩リンパ節(PALN)に転移を誘導する. 腫瘍移植後, 42日までの実験期間中に, 実験条件に合わせて, SiLN, 固有腋窩リンパ節 (proper axillary lymph node: PALN) を摘出する. 摘出されたリンパ節をパラフィンブロックとして固化し, 4um厚に薄切する. 抗LYVE1抗体で染色し, リンパ洞を染色する. 各染色切片をデジタルデータに変換後に, バイオイメージ分析ソフトウェアQuPath を用いて, 2050個のリンパ洞についてアノテーションをおこなった. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とCSAM (cross self-attention modules)を含む統計と深層学習モデルを統合するLSLN-Net深層学習を用いて, リンパ洞をおこなった.ピクセル単位の受信者動作特性(ROC)曲線とt分布確率的近傍埋込みを提示する。AUC (Area under an ROC curve)スコアは0.8675であった. (2) リンパ行性薬物送達法併用放射線治療 リンパ節転移マウスモデルを用いて, 腫瘍を有するリンパ節への局所放射線免疫療法の抗腫瘍効果を調べた. 腫瘍細胞をSiLN に接種され, PALN と肺に転移を誘発した. 放射線(1Gy)局所照射は肺転移を抑制し, 脾臓と肺のI型免疫を増加させた. さらに, 1Gyと抗PD-1抗体のLDDS投与を併用した局所放射線免疫療法により, PALNと肺の腫瘍増殖が抑制された. 局所放射線免疫療法は, 放射線療法や免疫療法単独の場合よりも抗腫瘍効果が高いことが明らかとなった.
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