研究課題/領域番号 |
21K18320
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秋田 英万 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80344472)
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研究分担者 |
田中 浩揮 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (60801743)
櫻井 遊 東北大学, 薬学研究科, 講師 (00707234)
松下 博和 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, 分野長 (80597782)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | RNAワクチン / 凍結乾燥 |
研究実績の概要 |
次世代シークエンサーの技術が発展する中、患者個々の腫瘍組織が特異に発現する変異蛋白質(ネオ抗原)を標的とするワクチンは、究極的な個別化がん治療法として注目されている。特に、抗原をコードするmRNAを投与し、生体内で抗原を発現させるRNAワクチンは、遺伝子情報を変えるだけで、同一の製剤ながら多種の抗原に迅速に対応できる点で、個別化がんワクチンを実現するための重要な技術となる。 我々は、エンドソーム内の酸性pHや細胞質の還元環境に応答して生体膜を突破し、自己崩壊することで『細胞質内へRNAを送達』できる脂質様材料 (SS-Cleavable and pH-activated lipid-like material: ssPalm)を開発した。特に、ビタミンEを疎水性足場とするssPalmE粒子は免疫活性化能を有し、さらに、抗原をコードするmRNAを本材料から形成されるナノ粒子に対して皮下投与することで抗原特異的な細胞傷害性T細胞を活性化できることから、RNAワクチンとしての応用が期待できる。今年度は、本材料を用いて、RNAを加えるだけでRNA内封ナノ粒子を調製できる凍結乾燥製剤の開発を開始している。 また、ssPalmEの生体内分解性を考慮した新たな材料を開発し、免疫活性化能の評価を開始するとともに、RNA搭載ナノ粒子が調製可能であることを見いだしている。さらに、癌抗原を新たに見いだすべく、マウスの癌自然発症マウスの作成を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNAワクチンの開発に有用なビタミンE足場型ssPalmを基盤とした、Ready-to-Use製剤の開発に向けて、予定どおり開発をすすめている。 また、化学物質の投与により、大腸に対して癌の自然発症を誘導できることを確認している。
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今後の研究の推進方策 |
封入率が低い点などの問題点もみいだされてきているが、様々な添加剤の濃度等の条件などを検討することで解決できることを他の脂質で見いだしており、本知見を生かした製剤開発をすすめる。また、新規材料の細胞性免疫誘導型のRNAワクチンとしての有用性を評価する。また、これまでの凍結乾燥よりもさらに利便性の高い新規ready-to-Use製剤の開発をすすめる。
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