研究課題/領域番号 |
21K18323
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
本藏 直樹 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (40518081)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 非線形光学顕微鏡 / 生体組織間シグナル伝達 / 多視点同時計測 |
研究実績の概要 |
多細胞生物で発展した生命維持の分業システムである、多臓器が関与する生命現象をあきらかにするために、生きた同一個体のさまざまな組織を、いっさいの時間遅れなく連続に生理機能を捕捉する方法論が求められている。特に分子・細胞レベルの空間解像を有した超高速顕微鏡画像取得は、生体で起こる早い生命反応を細かな時空間スケールで、また多次元情報を内包した画像として記録できるため、これまでも生命現象を記録する分野において活躍してきた。しかしながら現状、最新の非線形光学顕微鏡を用いて生体光イメージングをおこなっても、その観察領域はとても限られた視野内(最大1mm2 程度)での反応を記録するのみである。すなわち現在の計測技術では、多臓器がほぼ同時に機能発動するような現象において、個々の組織活動を同時記録することはほぼ不可能である。 そこでこれに対応するために、申請者は時間遅れのない2視点高速イメージング法の開発を試みてきた。その装置の基盤は、複数の対物レンズに順次励起光を入射させるため、λ/2板をピエゾ素子にて回転駆動させて偏光方向を切り換えることで入射方向を変動させ、数視点イメージングをおこなっている。またこれに加えて、偏光方向を素早く変動させるための装置の準備をおこなっており、これにより高速に多視点同時計測が可能となる見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間遅れのない2視点高速イメージング法の基盤を、λ/2板をピエゾ素子にて回転駆動させて偏光方向を切り換えることで入射方向を変動させることで実現している。それをマウス生体のイメージングと組み合わせて、2視点同時イメージングを取得可能となりつつある。また動物の観察となると対物レンズの角度を任意に変更する必要があるため、そのアダプターを作製し、任意の角度で対物レンズを観察領域にアプローチ出来るように組み替えている。これにより、より生体の様々な器官・臓器で同時イメージングが可能となると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現状の装置では偏光方向を切り換えるために、素子の物理的な回転が必要であるため、その振動収束を考慮すると、最速でも数 Hz程度の切り替え周波数となる。しかし神経系を介したシグナル伝達(10 Hz以上)は、非常に高速に生体内を伝導するため、情報発信源(脳・脊椎)と受信場(各器官・組織)を同時に可視化するには切り替え周波数が不十分であり、これを独立多視点・多臓器高速イメージングに適用するには改善が必要であることが判明しつつある。これを解決するために、液晶素子を用いて偏光方向を高速偏光調節(100 Hz以上)することで、たとえビデオフレームレート(30 Hz)であっても余裕を持って多視点高速イメージングが可能となる。そのため、次にこれまで遂行したこと、およびそれを元に、様々な生体・生理研究に対応できるよう、さらに複数の顕微鏡設定を考察し、それを遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
生体実験をおこない実データとして、どの程度の切り換え周波数と物理的な回転に伴うノイズが生じてしまうのかを取得しており、液晶素子での実験前に装置の必要スペックを確定している。また液晶素子のデモがコロナ禍により大幅に遅れているため、製品選定に予定以上の時間が経過していることが律速となっている。場合によってはピエゾ素子の高速化と光路の2重化により対応できる可能性もあり、それにより簡便に装置作成も可能となるため、その検討も併せておこなっているため、貴重な予算を次年度へと繰り越した。
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