研究課題/領域番号 |
21K18325
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村田 正治 九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 教授 (30304744)
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研究分担者 |
梅野 太輔 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00400812)
赤星 朋比古 九州大学, 医学研究院, 教授 (20336019)
河野 喬仁 九州大学, 先端医療オープンイノベーションセンター, 特任講師 (90526831) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 分子イメージング / 造影剤 / NASH / ナノメディスン |
研究実績の概要 |
炎症反応は生体防御において極めて重要な反応であるが、過剰な炎症性応答は組織障害を惹起する。この炎症において重要な役割を担うのがインフラマソームと呼ばれるタンパク複合体である。このインフラマソームは刺激を認識する受容体(Nod-like receptor やAIM2等)、ASC というアダプター分子、そしてカスパーゼ1 から構成されており、細菌やウィルスなどの病原体構成分子や代謝産物などの生体にとっての危険物質を認識すると多量体化して活性化する。本研究では分子生物学的手法を駆使することによってタンパク質ベースのバイオナノカプセルを作製・機能化し、in vivoでのインフラマソーム可視化を実現する。これまでにナノカプセルの肝実質細胞の標的化を達成している。ナノカプセル分子標的化についてはこれまで肝がん、膵がん、脳神経細胞、あるいは転移性大腸がんなどの標的化にも成功しており、外表面へのアンテナ分子呈示技術は独自のノウハウを蓄積している。さらにナノカプセルにインフラマソームへの応答機能を構築し、培養細胞ならびに疾患モデルでの性能評価を実施した。その原理はインフラマソームに特異的な反応による構造変化に基づいており、蛍光変化やMRI造影剤のシグナル変化によって観測することが可能である。 本年度はインフラマソームを誘導した細胞および細胞抽出液中において、インフラマソーム応答型ナノカプセルの感度を評価した。インフラマソームに対する応答性は期待したとおり、ナノカプセルの構造の空間制御によって調節可能であることが分かった。ナノカプセルは系に添加した酵素濃度依存的にシグナルを発し、その変化量からインフラマソームの活性化を定量的に評価することが可能であった。さらにナノカプセルを細胞内に形質転換し、外部から刺激を与えてインフラマソームを活性化させた際の応答性も評価し、本ナノカプセルを用いた診断への応用についても検討した。
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