本取組は、プレーパークに見られる、こどもの自由な遊び場の価値が、都市公園における遊び環境においても実現可能になるための要件を見出すことを、実践研究を行う過程から現実に即した知見から得ることを目指してきていた。あいにくコロナ禍のため、こどもが公園であっても集まることがはばかられる状況が初年度から2年度の半ばまで続いたことで、当初想定した実践は難しいところがあったが、一方で、公共的な場に人が集まる、ということがゼロリセットされたことで、少ないながらも、実験的取組から変化の兆候を見ることができた。 墨田区にある、公設公営のプレーパークとして全国的にも事例が少ない常設の公園「わんぱく天国」において、毎週水曜日を実験的活動の日と定め、行政や、運営側にも認めていただいた上で、様々な実験的取組を実施した。初年度や2年度では、移動式遊具の実験においても、運営側の観点からの制約から行いにくかったことが、実験者が運営者となり、すべてのこどもに関わる環境を研究側がコントロールして調査を進めることができた。 結果的に、移動式遊具は、小学校の中高学年が関わることで、遊びが充実するとともに、中高学年の遊びは、幼稚園や、小学校低学年のこどもの遊びのように、いわゆる遊具で身体活動的な遊びだけでなく、一見すると遊びとして捉えられないような居場所にいる状況が、豊かな遊びにつながることが分かった。 小学校高学年のこどもが放課後に日常的に外で遊ぶようになったが、一方で、これまで遊びに来ていた未就学児の子どもたちが来なくなり、小学生と幼児が同居するような遊び環境のあり方については、新しい課題となっている。今後は、多様性ある遊び場をつくるための環境設定についてが研究の課題だといえる。
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