御室版両部曼荼羅は、明治初年に京都の御室仁和寺の塔頭寺院、皆明寺で開版・刊行された両部曼荼羅の白描図である。金剛界と胎蔵界の両部曼荼羅のすべての仏(尊格)が版木に彫られ、その数はおよそ300面を数える。本研究は(1)データ採取と現状の記録、(2)版木と版本の比較研究、(3)版木の制作の背景と関係資料との比較研究、(4)資料の保全と活用の検討という4つの課題のもとで研究を進めた。最終年度には初版本の影印版を刊行し、関係者の利用の便を図った。版面を中心とする画像データを中心に、御室版の概要、成立の背景、諸版の比較考察、各面の詳細な考察等を、できるだけ早く一般書の形での刊行を実現する予定である。
|