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本研究の目的は、「よそもの過剰」Ueberfremdungという言葉の意味内容の変遷を指標として、20世紀以降のドイツ語圏、特にスイスにおける他者排除の心性を明らかにすることである。この言葉の時間的、および空間的意味変容は、欧州で「よそもの」と位置づけられる対象が時代に応じて、および国ごとにどう変化したかを表している。
当該年度は、Ueberfremdung関係の文献を収集するとともに、本研究の着想に資するところのあった、スイスの作家・知識人マックス・フリッシュの"Ueberfremdung I" (1965)および"Ueberfremdung II" (1966)を精密に読み解くことに着手した。フリッシュは、スイスにおいて1960年代に社会問題化していたイタリア人労働者の「過剰」をめぐる言説の批判的検討を通して、この言葉の意味の重層性と政治的含意を明らかにしている。彼の議論は、ヨーロッパ先進国で共通して問題となる外国人労働者問題・移民問題のみならず、ナチスによるユダヤ人迫害問題、さらには19世紀末の反ユダヤ主義までも射程に収めている。その意味で、2つのテクストを精密に分析することは、今後の本研究の土台作りという意味を持つ。フリッシュのテクストに関しては、2024年12月に口頭発表「Max Frisch als Redner: 講演テーマの変遷を軸に」を大阪大学ドイツ文学会で行った。 Ueberfremdung言説が絶対量を増すのは、1930年代から40年代にかけてのドイツ、すなわちナチス時代である。2024年8月にヒトラーと同時代のスイスの大統領エッターの演説を比較した結果を国際学会INTERFACEingにて発表した。これを元にして論集『ことば×データサイエンス』(2025)に「国境侵犯の危機と政治家の演説:スイス大統領エッターとヒトラーの比較」を寄稿した。
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