研究課題/領域番号 |
21K18341
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
松岡 秀明 成城大学, 共通教育研究センター, 非常勤講師 (80364892)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | キリスト教 / カトリシズム / ハンセン病 / 神山復生病院 / 岩下壮一 |
研究実績の概要 |
本研究は、以下の三点を明らかにすることを目的とする。(1)日本のキリスト教が運営したハンセン病療養施設の歴史的展開。(2)神山復生病院の所蔵史料の検討による患者たちの生活。(3)独自性の背景としてのカトリックの信仰にもとづく思想。 この目的のために、①世界のキリスト教がハンセン病をどのように捉え、患者の救援活動を行なったかについての基本的文献の収集、②日本でキリスト教がハンセン病をどのように捉え、患者の救援活動を行なったかについての文献の収集、③日本でキリスト教が運営したハンセン病療養施設の史料の収集、④神山復生病院にかかわる史料、具体的には復生記念館所蔵物の史料の収集、⑤史料の分析、⑥成果の発表、を行なう。2年めとなる2022年度には、主として①~④を実行する予定であった。しかし、新型コロナウィルスの流行が続いたため、③については、熊本のリデル、ライト両女史記念館を訪れることしかできなかった。しかし、この調査で得た資料を活用することで⑤および⑥として、日本宗教学会第81回学術大会において「宗教から国家へ-近代日本のハンセン病の救済-」を発表するとともに、『死生学年報 2033』に論文「ハンナ・リデルの藍綬褒章-『救癩』の宗教から国家への転換点」を執筆した。一方、④については新型コロナウィルスの流行継続のため復生病院記念館は2022年度は2023年2月に一度だけしか訪れることはできなかったが、学芸員の森下裕子氏とは2021年度に構築した信頼関係を維持している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年めの2022年度には、コロナ①世界のキリスト教がハンセン病をどのように捉え、患者の救援活動を行なったかについての基本的文献の収集、②日本でキリスト教がハンセン病をどのように捉え、患者の救援活動を行なったかについての文献の収集、③日本でキリスト教が運営したハンセン病療養施設の史料の収集、④神山復生病院にかかわる史料、具体的には復生記念館所蔵の史料の収集、⑤史料の分析、⑥成果の発表、を行なった。 しかし、コロナが続いたため以下二つの問題が生じた。(1) 復生記念館と、リデル、ライト両女史記念館以外のキリスト教にかかわるハンセン病療養施設を訪れて史料の収集することができなかった。(2) 復生記念館もコロナおよび記念館を同じ敷地内で運営する神山復生病院でコロナのクラスターが起きたため、2023年2月に一度だけしか訪れることができなかった。 このため、③日本でキリスト教がハンセン病をどのように捉え、患者の救援活動を行なったかについては、現地に赴かずに収集可能な資料の収集を行なった。⑤および⑥としては、日本宗教学会第81回学術大会において「宗教から国家へ-近代日本のハンセン病の救済-」を発表するとともに、『死生学年報 2033』に論文「ハンナ・リデルの藍綬褒章-『救癩』の宗教から国家への転換点」を執筆した。 以上を勘案して、本研究はやや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に行なう予定だったが、新型コロナウィルス流行継続のために断念せざるを得なかった③日本でキリスト教がかかわったハンセン病療養施設を訪れ史料の収集を行なうことを実施する。具体的には、コール館(熊本市、待労院関 連史料)、リーかあさま記念館(草津市、リーがかかわったハンセン病患者救済事業の史料)に赴き学芸員等の方々にお話を伺うとともに資料を集める。また、④神山復生記念館での調査を継続し史料を収集する。 さらに、終戦までの日本のキリスト教のハンセン病療養施設の歴史的変容を俯瞰する発表を、第49回日本保健医療社会学会大会と日本宗教学会第82回大会で発表し、『成城大学 共通教育論集』第16号(に論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行の継続に伴い、予定していた各地のキリスト教のハンセン病療養施設の記念館で調査を行なうことが不可能となり、次年度使用額が生じた。新型コロナの第5類への移行によって2023年度は調査が可能となっているため、これを遂行する。
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