研究課題/領域番号 |
21K18342
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研究機関 | 多摩美術大学 |
研究代表者 |
金沢 百枝 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (10548001)
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研究分担者 |
河島 思朗 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80734805)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | エトルリア / ローマ / ロマネスク / 神話 / 美術 |
研究実績の概要 |
本研究はエトルリア、ローマ、ロマネスクへとつづく文化的連続性に着目し、その受容と変遷を検証することで、当該地域における文化理解に従来とは異なる視座を提示するとともに、新しい研究分野の礎を構築することを目的とする。 本年度は、研究代表者の金沢は、新型コロナウィルスの影響のため実地調査が叶わなかったため、主にエトルリア美術とトスカーナのロマネスク美術について文献資料を収集と分析、とくにエトルリア美術とギリシア文化、そしてロマネスク美術とのつながりの把握に努めた。そのうえで、イタリア半島とその周辺のロマネスク美術において、ローマ美術の模倣というよりも、より地域性のある形象が残存した可能性を「とげを抜く少年」の図像に見出した。たとえば、2019年の実地調査で見出した、ピサ・ロマネスクの影響があるとされているAregnoの聖堂彫刻である。ロマネスクはローマ建築を模した建築様式とされているが、美術においては「ローマ」が手本だったのかどうかという新たなテーマを見出した。これらの成果の一部は口頭発表を行った。 分担者の河島はローマの文学におけるエトルリア像の描写を考察した。たとえば、文学の庇護者マエケナスはあえてエトルリア王家に祖先をもつとホラティウス『カルミナ』に描かれる。一方でウェルギリウス『アエネイス』においては、実際にはエトルリア由来の文明や技術がギリシアに起源をもつと語られる。このようにエトルリア・ギリシアの表象に意図的な転換を見出した。これらの成果の一部は口頭発表するとともに、論文などによって発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの研究の進歩状況はやや遅れている。国内でおこなうことのできる研究についてはおおむね順調に進んだが、新型コロナウィルスの影響のため、予定していた外国での資料収集や実地調査をおこなうことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は予定している通り本年度の研究をさらに進展させるとともに、成果の公表にも力を注ぐ予定である。また国際情勢が許せば、可能な限り渡欧して研究をおこなう予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの蔓延により、計画どおりに渡欧できず、資料収集や実地調査にゆけなかったため、旅費を使えなかったため。
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