研究課題/領域番号 |
21K18365
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研究機関 | 青森中央学院大学 |
研究代表者 |
加藤 澄 青森中央学院大学, 経営法学部, 教授 (80311504)
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研究分担者 |
斉藤 まなぶ 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (40568846)
田中 真寿美 青森中央学院大学, 経営法学部, 講師 (90557795)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 自然言語処理 / コーパス言語学 / SFL / 語用論的障害 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
ASDの主となる症状の1つは、コミュニケーション障害である。このコミュニケーション障害は、語用障害を軸として捉えられ、本研究では、代表加藤の先行研究で構築した「ASD/定型発達+統合失調症の話し言葉コーパス」から、ASDと定型発達の語彙-文法資源の使用の違いを機械学習させ、これら2グループの判別を自動的に行うAIをパイロットスタディとして開発し、臨床の現場で診断ツールとしての可能性を探る。 今年度は、機械学習の結果への信憑性を高めるため、コーパスの拡大を図っていく必要があり、コーパスに格納するデータ収集を継続している。AI用のテストケースを含め、データの拡張が必須であるため、弘前大学医学部以外の大学医学部から、データ提供を打診予定であるが、実現のためのハードルは高い。 コーパス格納データに関しては、自動アノテーションの精度向上をはかるためのプログラミングを試行錯誤している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前段階の実験では、特定の2種のディスコース(クライエントの課した課題)に関して、自動アノテーションにおいて90%の正答率を達成しているが、今回、その他の課題に対して、自動アノテーションのためのプログラミングを適用したところ、自動アノテーションがなされたのが、30%程度という結果となったため、原因調査を行っているところである。従って、まだ、AI構築の前段階にとどまっている状況である。また、判別テストケース用のデータ収集が不足しており、現在、複数の病院でデータ収集を行っているが、対象とする思春期から大人年齢層のケースは、受診者数が少なく、患者の受診を待ちながらのデータ収集となるため、時間がかかる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
自閉症スペクトラム障害者と定型発達者の言語使用による判別のためのAIの信憑性を高めるために、データ数を可能な限り、増やす必要がある。AIは、14歳以上の年齢層を対象とするが、この年齢層は、受診者数が少なく、受診者の来院を待ちながらのデータ収集となるため、時間がかかる見通しである。一方で、自動アノテーションの精度向上をはかり、その上で、AI作成のための機械学習の実験を繰り返していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
機械学習の信憑性を高めるために、コーパス拡張の必要性があり、あらたに、60ケースのデータ収集を行い、逐語記録化及び、自動アノテーションを行った。その過程で、新たな問題が生じた。自動アノテーションは、前段階の実験では、特定の2種のディスコース(クライエントに課した課題)に関して、90%の正答率を達成しているが、今回、その他の課題に対して、適用したところ、自動アノテーションがなされたのが、30%ぐらいとなったため、原因調査を行っているところである。 また、判別テストケース用のデータ収集が不足しており、現在、複数の病院でデータ収集を行っているが、対象とする思春期から大人年齢層のケースは、受診者数が少なく、患者の受診を待ちながらのデータ収集となるため、時間がかかる見通しである。こうした事情から、人件費に予定していた予算に、大幅な残余金が生じた。これらの残余金は、次年度、収集データの量に応じて、データ処理、アノテーション作業、プログラミング等に費やされる予定である。
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