研究課題/領域番号 |
21K18368
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
植野 貴志子 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (70512490)
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研究分担者 |
三宅 美博 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (20219752)
野村 佑子 順天堂大学, 国際教養学部, 助教 (20712954)
内富 寛隆 東京工業大学, 情報理工学院, 特任助教 (30886932)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 言語 / 身体感覚 / 自己意識 / Virtual Reality実験 / 通言語的研究 / 学際的研究 |
研究実績の概要 |
2023年度の主な活動は下記の通りである。 (1)オンライン研究会を開催し、2021~2022年度にかけて日本語母語話者(9名)と英語母語話者(14名)を被験者として行ったVirtual Reality実験、および、事後インタビューで得られたデータを分析し、考察を深めた。Virtual Reality実験の結果から、日本語母語話者、英語母語話者の両方において、自己の中心がその身体から離脱するような錯覚(体外離脱)が実験的に誘発されることが示された。さらに、Virtual Reality実験における内観報告、および、事後インタビューの結果から、被験者が錯覚体験を意識化、言語化する過程において、日本語母語話者と英語母語話者のあいだに何らかの異なりがある可能性が示唆された。これらの結果をもとに、"embodiment"等の概念を用いて、言語、自己意識、視覚、体性感覚の関係について議論を重ねた。 (2)Virtual Reality実験結果の分析をまとめ、論文を執筆した。改稿を重ね、科学系の国際ジャーナルに投稿した(掲載決定)。 (3)事後インタビューのデータをもとに、日本語母語話者と英語母語話者がVirtual Reality実験における体験をどのように内省し言語化したかについて「談話分析」の手法により分析した。分析、考察の結果をまとめ、論文を執筆した。近日中に国際ジャーナルに投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度はデータ分析、論文執筆に注力した。論文による成果公表を優先し、学会での口頭発表には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
実験で得られたデータの分析、考察を深め、言語が身体感覚や自己意識の様態とどのように関わっているかという問題について議論を発展させる。Virtual Reality実験における日本語母語話者と英語母語話者の反応の同異、日本語の「自分」と英語の一人称代名詞の使用、日英語のインタビュー談話における「視点」等の問題を取り上げる。国際ジャーナルへの投稿、および、学会での口頭発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は論文執筆に注力した。論文による成果発表を優先し、予定していた学会発表は延期した。そのため、未使用の旅費が生じた。2024年度は、論文執筆を継続して行うとともに、学会での口頭発表を行う予定である。助成金は、論文掲載、英文校閲、資料購入、および、学会出張に使用する予定である。
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