研究課題/領域番号 |
21K18369
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
堀田 秀吾 明治大学, 法学部, 専任教授 (70330008)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 潜在的バイアス / 認知バイアス / 心理言語学 / 法言語学 / 判断 / 言語学 |
研究実績の概要 |
本研究では、2021年度は、1. 分析に用いるデータとして、すでに保有している裁判員裁判における評議の会話データや刑事事件の公判記録に加え、関連書籍や論文、LEXISなど複数の判例データベースから得られる判例等の資料、また刑事訴訟法研究者、日本弁護士連合会や法実務家等に協力を得て、新たに捜査機関による被疑者取調べの記録を提供してもらう、2. 1で収集されたデータを基に、「人種・民族・国籍」「性別・ジェンダー」「出身地・生活地」「経済社会層」といった様々な社会的属性や前提を含んだ、バイアスを生み出す可能 性がある言語情報およびその影響や効果について、制度的談話、オーディエンス・デザイン、 関連性理論、協調の原理などの語用論や社会言語学の諸理論、および偏見や説得に関する社会心理学の諸理論を参照しながら検討していくことを予定していたが、長引く新型コロナの影響により、実務家との接点が限られるなど、多少、データ収集の面では遅れをとっている。一方で、分析に用いるための様々な心理学・言語学の理論の調査は順調に進んでおり、その成果の一部は書籍として、現在、出版社と企画を進めているところである。また、実験計画についても、実験心理学を専門とする研究者に知見を提供してもらいつつ、2022年度に実施する方向で検討を重ねている。このような状況を鑑みて、全体としては、概ね順調に研究計画は進んでいると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスによる種々の活動制限はあるものの、2022年度に実験を行うにあたっての下準備としての各種資料集めは概ね順調に進展している。2022年度は、当初の予定通り、実験を行う方向で準備をしている。
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今後の研究の推進方策 |
資料収集にあたって、法実務家の協力を仰ぐことが実質難しい状況になっていることもあり、2022年度は、少々路線を変更して、これまで収集してきた資料をもとに仮説を立てて、実験を実施していく予定である。また、現在、バイアスに関する書籍の刊行に向けて、出版社との交渉・執筆も進んでいる。また、状況が許せば、この分野の第一人者であるハワイ大学William S. Richardson Law SchoolのJustin Levinson教授と連携し、研究会やシンポジウムの実施、共同論文の執筆等の可能性を探っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響による種々の活動制限があったため、学会発表や資料収集のための旅費や研究会開催のための費用が支出せずに終わったことが一番の原因である。しかし、これらの計画は2022年度に実行が可能であるため、次年度に繰り越すことになったが。活動の制限が緩和されれば当初の2022年度分の計画と合わせても実行は難しくないと考えている。
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