研究課題/領域番号 |
21K18373
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
小谷 克則 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (30440994)
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研究分担者 |
内田 真弓 関西外国語大学, 英語国際学部, 准教授 (10712169)
井佐原 均 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (20358881)
吉見 毅彦 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (50368031)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 学習者コーパス / 通訳コーパス / コミュニティー通訳 / 通訳過程 / 自動評価ツール / データ収集ツール |
研究実績の概要 |
本研究は、通訳対話における言語的特徴及び非言語的特徴を分析し、通訳技術習得過程の検証を行う。本研究の第一の目的は、通訳対話における言語的特徴及び非言語的特徴を分析し、通訳技術習得過程を検証することにある。本研究の第二の目的は通訳技術の自動評価法及び通訳学習教材の難易度自動推定法の開発に取り組むことにある。 言語的特徴及び非言語的特徴の分析における本年度の実績は以下のとおりである。(1)学習者の事例データとして、独話データ及び通訳検定データを収集した。前者は動画データ、後者は音声データである(2)非言語的特徴の抽出に関して、表情、動作、姿勢を画像解析し、身体上の各座標の動作を3次元の座標として同定する手法を検証し、その有効性を一定度確認した。また、言語的特徴の抽出に関して、音声データを解析し、国際音声学会IPAの発音記号へ書き起こす手法を検証し、その有効性を一定度確認した。(3)通訳技術習得過程の検証に関して、既存の通訳訓練生のコーパス研究に基づき、通訳技術の習得過程における調査・分析対象となる言語的特徴を確認した。 通訳技術の自動評価法及び通訳学習教材の難易度自動推定法の開発における本年度の実績は以下のとおりである。(1)発音自動評価法を検証し、その有効性を一定度確認した。ここでの発音は通訳段階ではなく、読み上げ音声であり、学習者の発音に特化して検証を行った。(2)非言語的特徴に基づき学習者の習熟度推定の可否を検証し、英語初級者と母語話者において非言語的特徴を比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、本研究に関する学会報告を3件(2022年7月、同年10月、2023年3月)行った。また、論文が1件(2022年9月)発行された。 具体的な研究活動は以下のとおりである。通訳技術に関する学習者コーパス研究において、データ収集ツールの改良及びデータ収集を行った。具体的には、昨年度開発した動画データ収集ツールの収集法及びデータ記録法の改良を図った。実験データ収集に向けて、また、一般公開に向けて更なる改良の検討を行った。そして、事例データの収集を実施した。これまで検討してきた通訳事例データ収集法に基づき、コミュニティー通訳の検定結果を通訳事例とする音声データとして収集した。また、英語検定模擬試験の結果を学習者の英語運用事例とする動画データとして収集してきた。これらのデータに基づき、データの解析法、(非)言語的特徴の附記の仕方を検討した。なお、(非)言語的特徴の附記の仕方に関して学会発表を通じて、その成果及び今後の課題を確認した。次に、通訳技術学習支援システム研究において、自動評価用の解析情報取得及びその検証を行った。非言語的特徴の情報抽出には画像情報から3次元座標を深層学習により推定する手法を用いた。そして、英語検定模擬試験の同一課題(独話)を英語初級者と母語話者が行った場合の座標を比較し、両者の相違点を確認した。また、言語的特徴の情報抽出には音声情報の文字情報への転換として国際音声学会IPAの発音記号を推定する手法を用いた。いわゆる書き起こしツールの場合、不適切な発音であってもその誤りを自動的に訂正し、正しい発音として書き起こされる。この場合、学習者の発音誤りの特定は自動的に訂正が不可な程度の誤りに限定される。一方、発音記号への書き起こしの場合、学習者の発音に近似の発音記号への書き起こしのため、誤用を適性に応じて段階的に特定できることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
通訳技術に関する学習者コーパス研究では、事例データの収集を引き続き行う。また、収集した事例データを活用し、本研究のデータ収集法の検証を行う。そして、本研究で得られた知見に基づき、(非)言語的情報の検証を行う。最終年度として、データ収集法及び収集したデータの公開準備を進める。なお、データ収集ツールに(非)言語的特徴の抽出機能の追加も図る。通訳技術学習支援システム研究では、最終年度として自動評価法の開発及び検証を行う。この評価法についても一般公開に向けての準備を図る。また、両研究の成果報告に向けて取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由はデータ収集ツール改良に関する支払い時期及び国際会議のオンライン参加によるものである。 使用計画では、データ収集ツール改良に関する支払い請求を受領次第、執行する予定である。
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