研究課題/領域番号 |
21K18376
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
中川 奈津子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 特任助教 (50757870)
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研究分担者 |
田窪 行則 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 所長 (10154957)
籠宮 隆之 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 特任助教 (10528269)
山田 真寛 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 准教授 (10734626)
小西 いずみ 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60315736)
大向 一輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (30413925)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 言語学 / 方言学 / フィールド調査 / デジタルアーカイブ / メタデータ |
研究実績の概要 |
国内の言語学・方言学では一般的に、個々の言語学者が自分のフィールドデータを管理、 研究で利用し、他の研究者がこの研究成果の妥当性を詳細に検討するためには、自分自身が そのフィールドに行って調査するか、個人的にデータをコピーさせてもらうしかない。この ような慣習には、特に消滅危機言語・方言を研究する上で以下のような問題点がある。1. 研 究者の主張の妥当性を確かめることが困難で、再現性も担保されない。2. 消滅危機言語・方 言は、一部地域で話されている話者数の少ない言語でもあり、研究の再現性のために複数の 研究者が同じ話者に調査協力を依頼すると話者の負担が増す。3. 個々の研究者が「データを 囲い込んでいる」ことが問題だが、研究者の問題であるとも言い切れず、フィールドデータ を発表しても業績にならないので発表する動機づけがないという構造的な問題をはらんでい る。4. 語彙リストや談話資料は業績となりうるが、発表媒体が主に紙であり、音声・動画の 公開は研究者の技術に制約されやすく、また公開しても業績にならないので、公開する動機 づけがない。5. 電子ジャーナルとして語彙リストや談話資料が公開されることもあるが、フ ォーマットはpdfが主流であり、定量的な分析に向かない。6. 調査に協力した話者を含むコ ミュニティへのデータの還元がなく、地元の言語や文化の継承に貢献できない。上述の問題を解決するためには、日本国内にデジタルアーカイブができる設備が必要で ある。その第1歩として以下を遂行することを、本プロジェクトの目標とする。 (a) 少数の研究者間でのフィールドデータの電子的共有(1, 2の解決策) (b) 共通メタデータの提案・改良・普及(1, 2の解決策) (c) 電子ジャーナル以外でのデータの公開方法、引用方法の検討(3, 4, 5, 6の解決策) (d) 地域との協働 (6の解決策)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10月から約月1回、合計6回の研究会を行い、フィールドデータのメタデータの知識グラフ化、調査データ(主に例文データ)のTEI化、地域との共有について議論し、方針を決定した。メタデータとTEIの方針が策定できたので概ね順調に推移していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1年に2回の公開討論会を行い、フィールドデータのアーカイブの重要性と利便性を普及 するとともに、ベストプラクティスのたたき台を提供する。また、意欲のある研究者らには 非公開サーバのスペースを貸し出し、複数人で共有してもらい、意見をつのる。技術的課題 が認識された場合には、その方法を動画配信するなどして、アーカイブ参加への技術的障壁 をなるべく少なくする。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィールド調査や出張に行く予定であったがCOVID19の影響で全てオンラインになるかキャンセルされ、旅費を使うことができなかった。
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