研究課題/領域番号 |
21K18385
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研究機関 | 大阪学院大学 |
研究代表者 |
渡辺 千香子 大阪学院大学, 国際学部, 教授 (40290233)
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研究分担者 |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ライオン / 古代西アジア |
研究実績の概要 |
本研究は、古代西アジアに棲息したライオンについて、当時どのような種類のライオンがいたのか、ライオンと人の関係や資源としてのライオンの利用について明らかにすることを目的とする。本年度は、新アッシリア時代のライオン狩りについて、紀元前2~1千年紀の王碑文を中心に調査した。王の狩猟でライオンは典型的な王の獲物であったが、同時に王自身がライオンのメタファーで表現されることも多い。その矛盾した関係性について分析し、「The king as a fierce lion and a lion hunter: the ambivalent relationship between the king and the lion in Mesopotamia」の論考を発表した。 また、生け捕りにされたライオンの繁殖・飼育に関する断片的な記録について、これまで体系的に扱った研究がないため、ライオンが飼育されていた実態と目的を明らかにするため、経済文書に記されエサの記録等を調査した。さらに、飼育の目的を明らかにするため、ライオンの身体部位に言及した文献ならびに図像表現を集めた。この研究成果をまとめ、12月に開催された学会(American Society of Overseas Research)年次大会で報告した。資料収集にあたり、未出版の文献について、ミュンヘン大学(J.ノヴォトニー)・ヴュルツブルク大学(G.ヴァン・ブレール)・ヘルシンキ大学(M.ルッコ)の各研究協力者から情報提供を受け、ライオン飼育に関する新たな知見をまとめた。 シュメール語文献に言及されるライオンの研究を共同で行うため、ウィーン大学研究協力者(G.ゼルツ)と意見交換した。 トルコにおける動物骨の調査を進めるため、イスタンブール大学やパリ自然史博物館の研究協力者と今後の研究の進め方についてオンラインで意見交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染拡大のため、予定した海外調査のすべてを行なうことが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナの感染状況ならびに関係する各国の入国制限・水際対策を注視しながら、アッシリア学・シュメール学(図像・文献学)ならびに動物考古学のライオン研究の研究者たちと共同研究体制を構築し、研究会開催等に向けた話し合いを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大のため、予定していたトルコならびに欧州現地における国際共同研究が困難となった。今後の感染状況、入国条件、水際対策等を注視し、安全な環境で現地調査・共同研究が可能であると判断できれば、海外調査を行なう予定である。
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