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2023 年度 実績報告書

漆塗膜の多成分・多元素同位体分析による漆工芸品の製作地推定に向けた試み

研究課題

研究課題/領域番号 21K18386
研究機関国立歴史民俗博物館

研究代表者

若木 重行  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50548188)

研究分担者 谷口 陽子  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40392550)
岡田 文男  京都芸術大学, 芸術学部, 客員教授 (60298742)
大谷 育恵  京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80747139)
南 雅代  名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (90324392)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード漆塗膜 / 製作地推定 / Sr同位体
研究実績の概要

本年度はまず、漆塗膜の漆成分溶解後に固体粒子として残存する下地由来の珪酸塩鉱物と顔料由来のHgS・金属Sn粒子等を物理的に分離するため、SPT(ポリタングステン酸ナトリウム)重液を利用した比重分離法を検討し、珪酸塩鉱物と顔料粒子の分離条件を見出した。これにより、数mg程度の漆塗膜片から、漆成分・下地成分・顔料成分を化学的・物理的に単離し、それぞれの成分に対して任意の重元素同位体分析を行うための手法が完成を見た。
次に、北海道枝幸町目梨泊遺跡より出土した、8世紀後半から9世紀初頭のものと考えられる金銅装直刀の鞘部に残存した蒔絵由来の漆塗膜片に対して本手法を適用し、各成分を分離のうえ同位体分析を試みた。漆塗膜成分については、下地成分の溶解によるコンタミネーションを可能な限り防ぐことに成功し、Sr同位体の分析に成功した。その結果、漆の原産地としては、日本・大陸での両方に産地としての可能性があることが示唆された。漆塗膜成分のNdについては低濃度、Pbについては付随する青銅製金具の変質由来のコンタミネーションの可能性から、同位体分析を見送った。下地成分については、Sr・Nd・Pb同位体比の、顔料成分についてはSn粒子中のPb同位体比の分析に成功した。下地の珪酸塩鉱物の同位体比からは、日本・大陸の区別は得られなかった。また、錫粒子については先行研究がなく、今後錫鉱石のデータが蓄積されれば、本研究の同位体比により原産地の推定が可能になると期待される。目梨泊資料の分析から、本研究で開発予定であった漆塗膜に含まれる多成分に対して他元素同位体分析を実現するための手法開発については成功を収めたと判断できる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 目梨泊遺跡(北海道枝幸町)出土オホーツク時代の刀装具の技法材料分析からみえる東・北東アジアのグローバル交易2023

    • 著者名/発表者名
      高畠孝宗、谷口陽子、岡田文男、成瀬正和、中神敬子
    • 学会等名
      2023東アジア文化遺産保存国際シンポジウム
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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