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2023 年度 実施状況報告書

埴輪ハケメの年輪年代学:年輪年代学的同一材推定を応用した埴輪同工品の認定

研究課題

研究課題/領域番号 21K18389
研究機関独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所

研究代表者

星野 安治  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (50644481)

研究分担者 廣瀬 覚  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 室長 (30443576)
山口 欧志  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50508364)
木村 理  岡山大学, 文明動態学研究所, 助教 (10881485)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
キーワード年輪年代学 / 埴輪 / ハケメ / クロスデーティング / 同工品
研究実績の概要

土器などの表面には,ハケメ(刷毛目)と通称される筋状の痕跡が認められ,中でも埴輪のハケメは,木製工具の木目の擦痕,すなわち年輪の痕跡であると考えられている。このハケメの照合は,埴輪流通の決定的証拠とされ,古墳時代の考古学研究に,今や欠かすことのできないものとなっている。しかし,その照合方法は,膨大な埴輪資料群について縮尺をそろえた写真や拓本を用いて直接比較し,ハケメの配列パターンを肉眼で識別するという極めてアナログな手法がとられ,特殊技能を要することや,客観性に欠けること,また検討数が限られるなど,様々な問題点が指摘されている。そこで本研究は,近年,木簡の接合などで成果をあげている年輪年代学的同一材推定を,埴輪ハケメ痕跡の照合に応用し,埴輪同工品の抽出数を格段に増加させるとともに,ハケメの検討に客観的・定量的視点を導入し,古墳時代の考古学研究を飛躍的に進展させることを目指すものである。
研究3年目である本年度は,昨年度から研究分担者に加わった岡山大学の木村理博士から提供いただいた栗塚古墳出土埴輪のハケメ写真について,年輪年代学的な検討を進めることができた。栗塚古墳出土埴輪は考古学的なハケメパターンが既に行われていたものであったが,年輪年代学的同一材推定では多くが整合的な結果となった。しかし,考古学的な検討では見出されていなかった組み合わせについても指摘することができた。これらことは,埴輪ハケメの年輪年代学的検討により,これまでの考古学的なハケメパターンの検討に客観的な裏付けを示すことができるとともに,埴輪ハケメの年輪年代学的検討を進めることにより照合するハケメの抽出数を増加させることが期待されることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は,ハケメ写真の計測を継続して進めるとともに,これまでに集積したハケメ幅データについて年輪年代学的同一材推定の手法を応用して,埴輪ハケメの照合を行い,計測した全てのハケメ幅データを登録し,年輪年代学的な埴輪ハケメの照合を網羅的に実施できる環境を整える予定であった。しかし,研究代表者のその他の事務的業務の多忙により,当初計画より進捗が遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は,計測した全てのハケメ幅データを登録し,年輪年代学的な埴輪ハケメの照合を網羅的に実施できる環境を整えるとともに,埴輪ハケメの年輪年代学的な検討に関する課題抽出を行っていきたい。また,これまでに得られた成果の公表についても力を入れて取り組む計画である。

次年度使用額が生じた理由

今年度は,ハケメ写真の計測を継続して進めるとともに,これまでに集積したハケメ幅データについて年輪年代学的同一材推定の手法を応用して,埴輪ハケメの照合を行い,計測した全てのハケメ幅データを登録し,年輪年代学的な埴輪ハケメの照合を網羅的に実施できる環境を整える予定であった。しかし,研究代表者のその他の事務的業務の多忙により,当初計画より進捗が遅れている状況となった。翌年度は,計測した全てのハケメ幅データを登録し,年輪年代学的な埴輪ハケメの照合を網羅的に実施できる環境を整えるとともに,埴輪ハケメの年輪年代学的な検討に関する課題抽出を行っていきたい。また,これまでに得られた成果の公表についても力を入れて取り組む計画である。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 文化財の三次元計測2024

    • 著者名/発表者名
      山口欧史
    • 雑誌名

      文化財科学

      巻: 88 ページ: 87-91

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 東大寺東塔の復元研究 東大寺所蔵建築部材の調査 年輪年代測定2024

    • 著者名/発表者名
      星野安治
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所学報

      巻: 104 ページ: 486

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 平城京左京三条一坊一・二坪発掘調査 年輪年代2024

    • 著者名/発表者名
      星野安治
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所学報

      巻: 103 ページ: 220-221

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 平城京左京三条一坊一・二坪発掘調査 出土部材および木簡・木製品の樹種2024

    • 著者名/発表者名
      星野安治
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所学報

      巻: 103 ページ: 209-219

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 曲物の年輪年代測定からみた平城宮・京跡出土資料の年代学的研究2023

    • 著者名/発表者名
      前田仁暉,星野安治,浦蓉子,高妻洋成
    • 雑誌名

      日本考古学

      巻: 56 ページ: 59-77

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 輪王寺護法天堂および二荒山神社神輿舎の年輪年代2023

    • 著者名/発表者名
      星野安治
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要

      巻: 2023 ページ: 44-47

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 飛鳥寺塔跡出土舎利容器2023

    • 著者名/発表者名
      石橋茂登,諫早直人,村田泰輔,田村朋美,星野安治,三田覚之
    • 雑誌名

      奈良文化財研究所紀要

      巻: 2023 ページ: 6-9

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 円筒埴輪編年に基づく大型古墳群造営過程の復元的研究2023

    • 著者名/発表者名
      木村理
    • 雑誌名

      日本考古学

      巻: 57 ページ: 23-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 埴輪生産組織と器種別分業―中小規模古墳を中心に―2023

    • 著者名/発表者名
      木村理
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 163 ページ: 47-50

  • [雑誌論文] 円筒埴輪の構成と展開2023

    • 著者名/発表者名
      廣瀬 覚
    • 雑誌名

      季刊考古学

      巻: 163 ページ: 18-21

  • [雑誌論文] 古墳秩序の生成と埴輪生産2023

    • 著者名/発表者名
      廣瀬 覚
    • 雑誌名

      歴史が何を動かしたのか

      巻: 3 ページ: 141-152

  • [雑誌論文] 国内におけるフォトグラメトリの応用2023

    • 著者名/発表者名
      山口欧史
    • 雑誌名

      月刊文化財

      巻: 719 ページ: 21-35

  • [学会発表] 近畿地方を中心とした木質文化財によるヒノキ科2000年標準年輪曲線の拡充2024

    • 著者名/発表者名
      星野安治,大山幹成,米延仁志,鈴木伸哉
    • 学会等名
      第74回日本木材学会大会(京都大会)
  • [学会発表] 徳島県川西遺跡出土木質遺物の年輪年代測定-文字による年代情報が少ない地域における木質遺物の重要性-2024

    • 著者名/発表者名
      前田仁暉,星野安治
    • 学会等名
      第74回日本木材学会大会(京都大会)
  • [学会発表] 栗塚古墳出土埴輪を対象としたハケメの年輪年代学的検討2023

    • 著者名/発表者名
      星野安治,木村理
    • 学会等名
      日本文化財科学会第40回記念大会
  • [学会発表] 文化財三次元計測のためのリアルタイムフォトグラメトリの実現2023

    • 著者名/発表者名
      山口欧志
    • 学会等名
      日本文化財科学会第40回記念大会
  • [学会発表] 奈良文化財研究所文化財用X線CTを用いた研究事例2023

    • 著者名/発表者名
      村田泰輔, 星野安治
    • 学会等名
      2023年樹木年輪研究会・木質文化財研究会合同例会
  • [学会発表] X線CTを用いた民具漆器の非破壊年輪計測と産地推定2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木伸哉,星野安治,大山幹成
    • 学会等名
      第38回日本植生史学会大会・日本花粉学会第64回大会合同大会

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公開日: 2024-12-25  

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