研究課題/領域番号 |
21K18397
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀 和明 東北大学, 理学研究科, 教授 (70373074)
|
研究分担者 |
田中 靖 駒澤大学, 文学部, 教授 (80348888)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
キーワード | 流域 / 河道 / 河相 / DEM / 連結性 |
研究実績の概要 |
近年,河川や流域を扱う様々な研究分野において,河相・河川景観や水,土砂などの連結性(コネクティビティ)への関心が高まっている.流域の特性は,縦断形や平面形といった河道形態に反映されると考えられるが,実際に,源流から河口までの河道形態を詳細に明らかにした研究はなく,河道形態と流域の地形や地質,気候,植生との関係も総体的に議論されてこなかった.本研究は,一級水系の源流から河口までを対象に,河道の縦断形・平面形態と流域の地形や地質,降水量,植生,人工構造物の分布との関係を,GIS(地理情報システム)を用いた空間解析や現地調査にもとづいて検討し,河道形態の特徴や流下方向への変化,それらを規定する要因を総体的に議論する. 今年度は,作成した河川の縦断形の特徴について検討するとともに,いくつかの河川(鶴見川,太田川,吉野川,土器川など)について現地調査をおこなった.縦断形について,とくに,河川下流部に注目したところ,多くの河川において勾配の急変(遷緩点)がみられ,その標高は10 mあるいは5 m付近に集中していた.勾配変化点の上流側は,ほとんどの河川で勾配1‰を超えることが確認されたが,盆地を流下してくる一部の河川(石狩川,北上川,雄物川など)では1‰未満であった.河床堆積物のデータと河川縦断形との関係をいくつかの河川について検討したところ,勾配の急減がみられる河川では,遷緩点付近で代表粒径の急減が認められた.勾配の急変がみられる標高と合わせて考えると,勾配や粒径の急減は海進にともなうバックウォータエフェクトを反映している可能性がある.一方,勾配が大きく変化しない河川においては,代表粒径の急減は認められなかった.また,河川の縦断方向の連結性に影響を与えると考えられる人為的な構造物(橋,鉄道,ダム,堰,送電線など)の分布について調査を進めた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
縦断形に関する検討や縦断方向の連結性に影響を与える人為的な構造物の把握については概ね順調に進んだが,平面形の特徴に関する検討がやや遅れている.また,多数の河川を対象としているため,現地調査をさらに進める必要がある.
|
今後の研究の推進方策 |
河川における人為的な構造物の分布の特徴や河川間における密度の差異などを検討する.また,平面形の特徴を把握するための指標についてさらに検討する.これらを踏まえた上で,研究成果のとりまとめをおこないたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行に想定以上の時間を要しているため.現地調査や学会参加のための旅費として使用する予定である.
|